丹下建築の団地に見る理想 〜 県営一宮団地

GWに香川を旅しました。実は10年以上前にも1度行ったことがあり、イサム・ノグチ美術館や直島を訪れました。直島はまだ地中美術館が出来る前で、今のように「観光地」にはなっていなかったナーと思い出します(もはや足を運ぶ気にもなれない……)。
ということで、2015年に再訪した香川で新たに出逢った記録をチビチビとお届けします。


昼に高松空港着、市街地に向かうバスを途中下車。交通量の多い通りから住宅地へ入り、ココドコ?な道を歩いてまずは腹ごしらえ。こんな家々の間に!な店舗でうどんを食べてからことでんに乗って一宮駅へ。そのほど近くに・・・

ナナメなテラスハウスが不思議な雰囲気のここは「県営一宮団地」。建替えた低層住棟を手掛けたのが丹下健三なのです。


1戸ごとズラして配置されたジグザグ型が「かっこいい!」、ナナメのラインを持つ屋根の線と面の美しさ!なんて斬新なんだろか。

1階+2〜3階はメゾネットのつくりだそう。日当たりもよさそうだし、戸建てのようでもある。


住棟番号表示もこんなふうにドットになっていて、素敵。こういうところも含めて「あー、80年代だナア」って思ってたらやはり1984年竣工でした。





車があるから「人的なもの」を感じることは出来るけれど、団地にありがちな雑然さは皆無であり、暑く強い日差しの下で見るこの光景はSF映画のようで、ちょっと気を失いそうになる。


で。ココの団地は給水塔も魅力的で、住棟ともども斬新な造形をしているという話にワクワクしていたのですが

え?


ええええええええええええええ!!!
(((((号泣)))))
うそおおおおお。。。。。。(卒倒)


まさかまさかの解体中に絶句・・・
でもでも、まだ少しはお姿を拝見出来たから良かった。。。
※在りし日の姿はこちらで御覧ください!美しいです。
http://allxa.web.fc2.com/archi/danchi/coei/ichinomiya/ichinomiya03.html



スターハウスもあるけれど、ここではチョット目立たないね。

カッコイイフォント。



竣工記念の石碑までありました。

住棟のあいだのちょっとした共有スペースでは子どもたちが遊んでいました。共用部にも特に不具合は見られず、県営住宅として管理は行き届いているようです。一部の棟は外壁塗装を新たに施し真っ白く輝いており、していない棟でもグレーの色味がきれい。ヒビもないのは元の材料が良いとか施工が良いとか定期的な管理とかあるのかしら(専門的なことはわからないので無知なこと書いてますが)。各住戸内の設備(特に配管)の現状はどうなのか気になるトコロではありますが、敷地内を歩いた限り寂れた印象を受けないのは、住民の方々が造形の「カッコよさ」を「自然」と感じて暮らしているのではないかなあと思うのです。
建築には建築家の理念が先行しがちだけど、結局のところ「どう使われるか」であり、あらゆる施設の中でも「公営の集合住宅」はその性格上、理想と現実が離反しがちだと思えます。しかし香川県営一宮団地はそれらが奇跡的なバランスで保たれていることが、素晴らしい都市空間でありました。