「シンプルなかたち」と「線を聴く」

森美術館/ポンピドゥー・センター・メス/エルメス財団による共同企画は、2会場で開催の展示でタイトルだけで魅了されたなあ。


まず銀座メゾンエルメスでの「線を聴く」展へ。カールステン・ニコライによる"音が聴こえてくる"よな幾何学模様。次の部屋に入って曲がった瞬間に目に入る、鯨津朝子さんの高らかな描線には息を呑んだ!ここの「天井の高さ」と「ガラスブロック」を活かしたの、初めてじゃないかしら(言い過ぎ、失礼・・・) そして高田安規子・政子さんによる、地図から切り取った(!!!)等高線が創り出す緻密な文様には圧倒された。ずーっと見入っちゃった。本気でホントにスゴイ。
http://www.maisonhermes.jp/ginza/gallery/archives/8115/

六本木へ移動。森美術館に入るつもりが、大大大行列でスゴスゴ退散。しかもコレ、他の展示の鑑賞者の列だったの。。。うーん理不尽。エレベーターで向かうしか無い超高層階に3つの、それぞれ関連性のない展示を開催しているのだ。美術館がただの「ハコ」だとこういうことになるっていう、悪い例だよなあ。ビジネスとして全方向から人を集めたいのはわかるけれど、お客さんのことを考えていない。動線や案内もズレているから列が列を呼ぶ。。。ウンザリムカムカして裏道へ逃げ、歩き始めた。
麻布から恵比寿、いつの間にかの代官山エリアへ入ったら、風景が脳内地図と全然違っていて震えた。散歩しながら辿る小さな個人店の雰囲気がまるで無い。フリーハンドで書かれた線がPCでピッと引かれた線に変わってた。結局六本木から渋谷まで歩いた。

数日後の平日、改めて森美術館へ向かった。「シンプルなかたち展」、オラファー・エリアソンの作品は原美術館以来かな。小さめの部屋にこれだけ配置され、ゆっくりと変化する様がとても美しかった。”あの瞬間”にハッ・・・と声を漏らした。何度見ていても飽きずにずーーっと見ていられる。それから大巻伸嗣の作品は、白いシフォンの布がふありと浮かぶインスタレーション。この不可思議な美しさに出逢ったときめきをどう伝えればいいだろう? 東京の風景を見下ろす窓を背景にしたロケーションにズバリとハマり、この日の白く霞んだ空と一体化していた!優雅で愛嬌があって、ふわりと浮かぶ”行方”に泣きそうになった。
http://www.mori.art.museum/contents/simple_forms/introduction/index.html


ミュージアムショップの隣のコーナーに、違う展示が行われていた。
「ふたつのアジア地図―― 小沢剛+下道基行」、今回から始まったコレクション展。世代の異なるふたりがそれぞれ撮影したアジア各地の風景を、ひとつの空間にまとめてあって学芸員の目線が光る内容だった。こういうことが出来るのは素晴らしいなあ。ふたりのまなざしは共に消え去ろうとしても消えない歴史や人々の営みを焼き付けていて、よかったなあ。


ところで、美術展の感想をネット上で写真と共にあげているのを結構目にするんだけど、どこかのサイトから落としたのだったり、更にはどう見てもスマホで撮ってませんか…ってのばかりなので、モヤモヤします。特に問題提議された記事を目にしないので、主催者側にしてはお金をかけないで宣伝になるから見て見ぬふりなのかな。