久しぶりの小遠足

よく晴れた日。肌寒いかなあとストールを用意するところに、季節の移ろいを感じる。
電車に乗って西へ、多摩川を渡った。1年半以上は経っただろうか、東京を出るのは。横浜郊外の駅で下車。お昼はこちら方面での定番のお店で、今日からという日曜メニューのボルシチを食べた。1人席は向きが変わっていて、配慮が感じられた。ご無沙汰ですとご挨拶すると「12周年記念で差し上げてるんです」と渡されたのは、月光荘の黄色いスケッチブック。この間の偶然の再会により、欲しいなと思っていたから驚いた。
「わー嬉しい! 12年ですか。おめでとうございます」
「○○さんでお逢いしてからもうこんなに経つんですね」
店主Aさんとは、器屋○○で行なわれた臨時珈琲屋台がキッカケで知り合った。古民家を使った店だったから縁側があって、そこに並んで珈琲を飲みながら「私、今喫茶店を準備中なんです」と教えてくれたのだ。半年後開店した場所は、前回書き留めたあのギャラリーのすぐ近くで、お家の都合で5年前にこの地に移転。久しぶりに訪れたこのタイミングで彼女からスケッチブックを渡されるだなんて、コジツケの偶然にしては出来すぎた話じゃないかしら。



それから歩き始めた。丘陵地を切り開いた住宅街は起伏に富んだ道なりで、急な坂道や長い階段が南北に走り、団地や住宅がみっしりした中に元々の地形を利用した公園がいくつもあった。


f:id:mikk:20211024203425j:plain:w400
f:id:mikk:20211024203459j:plain:w400
f:id:mikk:20211024203525j:plain:w400


生活圏とは離れた街並みに刻まれる豊かな緑の匂い。空は広く、薄さを増した水色にオレンジ色が混じる葉が輝き、その光を存分に浴びる。生きるエネルギーが体内に入っていく。

f:id:mikk:20211024203905j:plain:w400


ああ、やっぱり、たまにはこんな空気を吸ってこんな景色を見ながら歩かないとな。すっかり忘れていたよ。