もう1つモダニズム建築、京都会館へ

今回の京都旅の目的は「国立京都国際会館」でしたが、コンペの審査員には前川國男がいるし、 1日目にライブを鑑賞したCorneliusには「前川國男設計の東京文化会館で観たい!」とかねてから思ってたし → 建築について | 東京文化会館
そうだ!京都にも前川國男建築があるじゃない!と、午前中に京都国立会館をガッツリ見た時点で既に本日の歩行距離10キロ超え、午後はコチラに向かったのでした。モダニズム建築ツアーなり。





京都会館平安神宮などがある岡崎公園内に1960年に竣工。東京文化会館の前年になります。

ロームシアター京都は、前川國男の設計により東京文化会館竣工の前年である1960年に京都会館として竣工している。竣工後50年余を経て、施設全体の老朽化やホール機能の劣化に対して、2011年6月に「京都会館再整備基本計画」を策定し、既存の建築価値を出来る限り活かし、公共建築としての機能と施設水準の向上のため再整備が実施された。
www.belca.or.jp


再整備にあたってはネーミングライツにより52億円(契約期間50年!)、実に改修費用の半分以上を賄う金額を得て、2016年1月10日にリニューアルオープンしたのです。
公共R不動産 | 京都会館はロームシアター京都へロームシアター京都




リニューアルについてはこちらのサイトを見れば現地がバッチリわかります。
archihatch.com


とはいえ、稚拙ながら撮った写真を・・・

本来の建物前面にガラスウオールを設置。

この雨樋が

内部に収まってる・・・!

壁面のこのレンガ。


今は「室内」だけどかつては「外壁」であったこのレンガ。「コンクリート打ちっ放し壁面の劣化を防ぐ」とは、なるほど。

京都会館の前年1959年竣工の世田谷区民会館はブルータリズムを感じるコンクリート打ちっぱなしのつくりでカッコよかったのに、解体してしまった。

維持管理の影響もあるとは思うけど、やはり劣化が激しかっただろう。コルビュジエに多大な影響を受けたものの、日本の風土には難しいことを認識し模索するなかで、レンガタイルを埋め込んだ京都会館はまさに「転換点」となり、その翌年1961年竣工の東京文化会館はタイル先付け工法の先駆と言われ、更に1964年の紀伊国屋ビルでは打ち込みタイルに覆われた正面と裏通へ抜ける街路を作り、1966年の埼玉会館に至ってはタイルを敷き詰めた建物と広場が一体となって都市空間を生み出しているのだ。



1974年の東京海上ビルディング本館はタイル仕上げが今も美しかったのに(維持管理の良さ!)解体ですが・・



転換期となった京都会館がその後の挑戦を汲み取る形で、半世紀を経てブラッシュアップされ、今も変わらず市民の生活空間に溶け込んでいることが素晴らしい。京都という風土だからこそ、とも言えるのだ。