「彼ら」が下北を出て、メジャーデビューして、ライブハウスクラスからあっという間にホールクラスの動員を誇るようになり、雑誌や店頭でも良く見かけるようになり、ましてやお茶の間で姿を見るようになるなんて、「こういうバンドが売れる時代になったんだなあ」と驚いたことを思い出す。音にしろ見え方にしろ、あれぐらいハッキリと潔くガシガシ突き進んだのがよかったのかな。その渦の中に身を投じるというよりは、客観的に見ていたからよけいにそう思えた。中学生の頃に彼らを見て「ロックに目覚めた」人を羨ましく思う。私がもう少し若かったら彼らが放つ熱に憧れ、躊躇無く飛び込んだだろうな。80年代後半以降日本のロックシーンを飾ったバンドは数あれど、明らかにこれまでと違うニオイと華があった。90年代は後半になっていた。この頃からそういうバンド/ミュージシャンが人気を博したのは、90年代前半の空気があったからこそなのかどうか、時代が変わった、背負う物が変わったなってつくづく思った。それは受け手側もそうで、大型ロックフェスが行なわれるようになり、現象としてこの目で体感し共有出来るようになったことも大きいかもしれない。長身で細すぎる体躯から繰り出される鬼気迫るギタープレイは、ほんとうにほんとうにかっこよかった。実を言うと以前住んでいた街のスーパーでよく家族連れの彼をお見かけしていたので、親近感があったことをこっそり記してこの雑記を終わらせることにします。