原宿〜渋谷で展示3つ "circle of friends""Frozen in Time, Switzerland""アーバン/グラフィティ・アート展"


原宿vacantにて。大友良英インスタレーションの刺激も覚めやらぬこの場所で、現在開催中なのは「Circle of Friends」展。
キムやサーストンにEYEといったNYアンダーグラウンドシーンを語る際におなじみの面々から、Gang gang dance、growing、black diceといった今人気のブルックリン勢等によるイラスト/インスタレーション作品が展示されていました。
これがまあ、予想以上に「"スモール" サークル オブ フレンド」を地でいってる内容で、久々にイタい気分にさせられました。
まず800円も取られるんだけど、それに見合った内容なら文句もいわないさ。しかしただべろーんと作品が並んでるだけ。
公式サイトを見ると大層なこと掲げているのだけど、それならばそれなりの見せ方があるような…お金取ってるんだし。何がしたいのかわからない。。。んー、お金取られたからケチくさくこんなコト思ってる部分もあるだろうから、それは申し訳ないけど、もやもやするなあ…。
このvacantというギャラリーがどういう仕組みでなりたっているのかわからないんだけど、今回はちゃっかり作品販売してるし、ワケ解らない。
各作品のことを書いておくと、growingのひとのコラージュはどこか彼らの音楽を思い起こす部分があって、オモシロかったです。



原宿から渋谷に向かって歩いていて、近くにrocket(ギャラリー)があるから寄ってみることにした。今何をやってるかは知らないのだけど。
路地をくねくね入っていって、奥まったところにある建物の重い引き戸を開けた瞬間、しゃくっ!と背筋が伸びた。室内には写真が展示されていた。
Nathalie Daoustというカナダの女性の作品でタイトルは「Frozen in Time, Switzerland」。

アルプスの青い空と広がる大地を背景に横たわる女性の姿。ポラロイドで撮ったようなボケた風合いのモノクロ写真に手彩色(昔の観光写真みたいな)された、幻想的な作品。と書くと可愛らしい作風かと思われそうですが、スッと凍った世界がそこにあったのです。山、湖、川…牧歌的な緑の中で滑らかな曲線を描く女性はでろりと横たわり、おお、これは死体か…。(犬神家張りのV字開脚姿も。)「死体」になっていなくても目を黒いタイで隠されてたり、十字架を掲げていたり。ボケてトンネルな写りだから、なんかこう、遠くのヒミツの穴から覗いて見てる気分もあって、遠い昔を覗いているみたいでもあって、禁欲的なエロチシズムが澄んだ空気のまま薫ってきて、素敵…。
80年代なゴシックのニオイが90年代なガーリーの風を抜けて、過去も今も同列にある00年代に至ったような。
ふと立ち寄ってみて大正解な展示でした。
http://www.rocket-jp.com/exhibition/data/2009/frozen_in_time_switzerland/
同時期に銀座のヴァニラ画廊でも、個展を開催しているようだけどコチラは別シリーズで、会場が会場だけにもっとハッキリクッキリとエロチックなのね!
http://www.vanilla-gallery.com/gallery/nathalie/nathalie.html



渋谷に着いて、パルコの本屋に寄ってから東急本店へ。

「アーバン/グラフィティ・アート」展。
1970年代のロンドンで生まれたストリート・アートの作品展なんて、東急のイメージにはまるで合わないんだけど。(でもこのbunkamuraのギャラリーって意外に?いいのやってるので、立ち寄ってちょくちょく見ます。)
Never Mind the Bollocks Here's the Sex Pistols Think Tank Hail to the Thief
誰もが知ってるピストルズのアートワークを手掛けたジェイミー・リードを代表に、バンクシーやアイコなどの今までレコジャケや雑誌などの写真で「印刷物」として見てきたものが、「作品」として「値も付いて」並んでいて、ちょっと不思議なキブンになりました。
でも、やっぱり単純にカッコイイの!んで、ぞくっ〜とした!
シルクスクリーンやステンシルによるプリントに筆でピャッピャッと彩色されたりしているこれらは、妙に生々しいのです。びっしりと並んでいるだけ、なんだけどひとつひとつの作品からゾワーッと立ち上ってくる。
ケケケケケケ…と嘲笑ってる黒い血がドクドク通ってて、今までギャラリーなどで見てきた「現代アート」と呼ばれる類いの物には無いニオイがある。
そんな絵が会場は日本を代表する"財閥"の「東急」の中で、メッセージ云々よりも「コンテンポラリー・アート」として即売されていて、そんな入れ子状態の矛盾がオモシロいなあと思うのでありました。
http://www.bunkamura.co.jp/gallery/090814urban/index.html