いのくまさん

猪熊弦一郎の絵は昔から好きで、10年前くらいに初めて丸亀市猪熊弦一郎現代美術館へ行ったときには、踊るように見た。そしてからだのなかイッパイイッパイに、吸い込んだ。まるしかく。色。顔。猫。
オペラシティで開催中の今回の個展は彼ならではのテーマに沿って展開されているけれど、そもそもが谷川俊太郎による文で始まる絵本『いのくまさん』が発端となったとのことで、まるで絵本のなかから飛び出したような感じ。いや、私が絵本の中に飛び込んだのかもしれない。

いのくまさん

いのくまさん

いのくまさんの愛らしい絵にニマニマして、はしゃぎたくなってしまう。わたしのほかに誰もいなくて(!)、ほんとうにぴょんぴょん跳ねてもいいんじゃないかしら?と思えてくる余裕のある配置で、館内はのんびりとした雰囲気。mimoca同様にBluemarkがディレクションしているのでしょうか、細部にわたって遊び心溢れたコダワリが込められているのも楽しい。
鳥と猫コーナーには降参で、そのかたちいろ表情のひとつひとつが実にかわいらしくって、ジタバタしてしまう。
そうそうそれと、子供の頃の絵や、メモ帳なんかにさらさらっと描かれた落書きみたいなのが見れたことが嬉しい。くふくふ笑っちゃった。
見終わて出てくる人はみんな、笑顔なんじゃないかなあ。きっと。