ライブ3つ

6月、レインコーツを見てからの10日間で立て続けに3本のライブを見た。
ひとつめは自由学園の明日館でラジオゾンデ。音は波であることが伝わってくる。極めて純粋な「音」が鳴るだけだった。シンプルで芳醇でクリアな音。この日のここでしか鳴らない音。いい意味で自我がなくて、この場所で演奏するからこその今のこの音が静かに静かに鳴っていた。
ふたつめはペンギンハウスで朝生愛。彼女のライブはいつも、静謐な緊張感に満ちて張り詰めた空気がくいっと緩やかに狂っていくよな様がたまらなく良いのだけれど、最近はバックの強靭な演奏に乗っかると生じる「絶対的な安心感に包まれる不安定さ」に泣きそうになる。しかし今回の彼女から感じられた「強さ」はいったいなんだろう。明らかに今までとは違う質感の音だった。その変化に震えた。スゴイ。
みっつめはマンダラ2で石原洋。ソロで見ることが出来るとは。ギターのガツーンとした鳴りに痺れた。”枯れた”艶と芳香があって。ベースとドラムとそれぞれがカッチリ存在感を打ち出してて、これぞ「3ピース」のカッコ良さ。硬質でタイトで。昔やってたバンドの曲もやってくれるサービスもありつつ、淡々と演奏してゆくことで作り出される空気がよかった。

ネットによって自ら発信することが容易になってますます、自分からあれこれ発言し行動する人でないと注目されないし売れないのだろう。繋がりがないと不安なんだろう。仕掛けを作って今の世の中で音楽をやる意味を定義したり、不特定多数の人に「言葉」で印象付けないと伝播しないのだろう。
そんななかでただ、「音」だけを伝えてくれるミュージシャンだって勿論いるのだ。