シルビアのいる街で

金曜日、いわし雲を見ながら陽が暮れて、イメージフォーラムへ。
不思議な魅惑的な映画だった。
男が「シルビア」という名の女性を追って街をさまよう話で、そこだけ切り取ると男に対してエッエー!なのだけど、「シルビア」よりも「街」に力点が置かれているようなその映像は、私が散歩するリズムに似ていて、観終わって外を出たときの、青山通りを走る車や飲み会帰りの男女の群れの喧騒がいつもと違って響いたあの感覚を、私は忘れないと思う。

それくらい聴覚を過敏にさせたこの映画の音響は、生活音に「人格」を持たせたように、場合によっては暴力的に、異常に立っていて、途中ちょっとキツくなってしまった*1。それくらい異様で、これは一組の男と女の話しではないことを体感させられるのです。
そして映像が…光!空気!
空気の震え。光が、音が、この世に降り注いでいる!

海外版のポスターがまさに表している思います。このシーンにはグッときて放心しました。
併映で「何も変えてはならない」と合わせて是非見てみたいです。

どこかはっきりとしない街並み*2ですが、男とともにふらふら動きまわる視界がとっても楽しくて、時折挟まれるズバッと決まったシーンの完璧さに身震いしたり…。街の一部を写しているに過ぎないのに、重層的に語られているのがよかったな。
映画好きの人がとっても褒めているみたいだけど、散歩好きとして、ハッとする瞬間があったなあ。あの路面列車乗りたいなー!

*1:元々、フィールドレコーディングを使ったノイズ・ミュージックは好きです

*2:舞台はストラスブール