「横井軍平展 -ゲームの神様と呼ばれた男-」

ゲーム&ウオッチ」や「ゲームボーイ」などの開発を始め、ゲーム機のコントローラーの「十字キー」を生み出したことでも有名であり、任天堂の今日に至る基礎を築いたといわれる、故 横井軍平。彼が携わったプロダクトの数々を一同に介した展示*1がありました(撮影OKだったので収めた写真もUPしますが、少なくてスミマセン)。

1階奥の狭いコーナーでの展示で、最初拍子抜けしましたが、ギューッと詰まってて意外に長居してじっくり見てました。
横井さんが「ゲーム機以前」に手がけた「ウルトラハンド」などのオモチャが多数並び*2、壮観。そしてひとつひとつのコンセプトが凄い!
1971年に発売された「光線電話」は「音声を光に変換し、離れた場所でトランシーバーのように会話出来る」玩具。こ、こんなものがあったなんて…。
また、電子音を使用して5種類の打楽器の音を鳴らすことが出来るコンガ型をした電子楽器「エレコンガ」(要はリズムボックスかー)、ラジコンで動くミニ掃除機「チリトリー」(って名前が素敵すぎ。赤くて丸っこくてカワイイ。全自動掃除機ルンバの原型?)など、今巷に出回っているものに繋がる先鋭的なものづくりには、驚かされることばかりでした!
パッケージデザインは古きよきアメリカのニオイがするし、日本の60年代後半〜80年代までの「身近な」歴史が伝わってくるとても貴重で、意義深いものでした。もっと見たい!

そして「ゲーム&ウオッチ*3」!
ちょうど1980年に登場したことが驚き。79年ではダメだったんだなというか、まさにこの年を境にして「世界が変わった」といっても過言ではないんだなあ。ズラ〜ッと並んでる!

私は一番最初の「ボール」(お手玉みたくボールを操るゲーム)と、「ファイア」(火災が発生したビルから落ちてくる人を担架で受けて運ぶゲーム)を持ってたよ!姉と交換しながらやったことを思い出す。
でも82年に発売されたマルチスクリーンシリーズ(ドンキーコング)は持ってない。で、我が家に導入されたのはファミコンではなくMSXでした。まるで使いこなせなかったケド。同じく83年発売だったんだと、今調べて気づいた!



そして3Dゲーム機「バーチャルボーイ」。赤色LEDによる単色で、チープといえばそうなんだけど、今見るとなかなかオモシロイ。ゴルフゲームなんだけど、ローテクなハイテクというか、古さが愛らしい!でもコレ1995年登場ってびっくり。この15年で一気にテクノロジーが変わったんだなあ…。今じゃ映画にテレビに3D流行りだものね。来年ニンテンドー3DSが出るとのことですが、どうなるんだろ。
参照:「懐かしの玩具を多数展示「横井軍平展 -ゲームの神様と呼ばれた男-」フォトレポート

『散々使いこなれて、枯れてきた技術を、水平思考、つまりまるっきり違う目的に使うことによって、ヒット商品というものは生まれ出るのではないか』(「新しいビジネスは枯れた技術の水平思考から」より引用)
という考えのもと、「隙間商品」として生み出された玩具は予想以上に大きな市場となったことで退社に至った流れには、彼の哲学が貫かれていることを改めて感じとりました。不慮の事故でお亡くなりになったことが本当に残念でなりません。
世界が「ハイスペック仕様」になればなるほど、それにただ準じるのではない「隙間」から生まれるもの。それはゲームに限らず、音楽でもなんにでも当てはまるのではないかなあなどと考えながら、路地を歩いたのでした。トークショー岩井俊雄さんや真鍋大度さんが出演されたことも、ナルホドだなあと思います。

*1:オシャレギャラリーな原宿VACANTなので何故ここ?と思ったら、東京ピストルが主催でした

*2:これらは任天堂アーカイブとして保存しているものではなく、どうやらコレクターのかたからお借りしたもののよう。

*3:「ゲーム人生回顧録ゲーム&ウオッチ前篇中篇後篇