最初にチラシで見かけたこの映画には妙にひきつけられていた。別段SF映画好きではないのに何故だろう。それは、デザインがどこか90年代によく見られたようなテイストだからかなあ*1と思っていたところに、監督のダンカン・ジョーンズがデヴィッド・ボウイの息子だと知って、驚いた*2。
前情報をこれだけに留めて見たけれど、いい意味で「地味」だった*3。ストーリーに派手な展開はないし、大きく予想を裏切ることはない。白い空間に黒のロゴがカッコいいメインビジュアルは「2001年宇宙の旅」を想起させるし、「わたしとは何者か」というテーマも含めて、既視感は十分ある。けれどそれが嘲笑されるものにならなかったのは、監督自身の人の良さというか真面目さというか、育ちの良さを含めた「映画への真っ当な愛情」があるからではないかと思う。そしてやっぱり父親であるデヴィッド・ボウイからの影響を感じてしまう。
一番好きなのは「Ashes to Ashes」だなあ。
これを見た日は「中秋の名月」で、6時頃の空にはくっきり大きな月が輝いていて、その美しい輪郭を胸に焼き付けてから鑑賞したことも良かったな。勿論意識してなかったけれど。そして映画の余韻を引きずりなから見上げた空には月は無く、雨がポツポツ降ってきて、この世界とスクリーンの世界がなんだか繋がっているようだった。