せたのまつり


瀬田なつき監督メジャー映画デビュー作「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん*1」の公開直前イベントに行ってきました。
まず上映会。「港の話」も「あとのまつり」も共に見るのは2回目ですが、新鮮な驚きと高ぶり、そして余韻に満ちていて素晴らしい。この2作のセレクトは、重みと軽みを合わせ持つ監督の魅力を端的に伝えてくれたと思います。
特に「あとのまつり」はやっぱりダイスキで、冒頭からぐっと来て、途中何度も涙ぐんでしまった。「全フェス!」のくだりでは涙腺が決壊しそうだった。なんなんだろこの感じったら!刹那で永遠で、イマを生きている重さからふっと飛び上がるよな軽さ、キラキラしてて切なくて、それはふわりと浮かんだあとにパチンッと消えてしまうけれど、確かにココに輝きが残っている。

駆け抜ければ次々と過去になる、僕らはすべてを忘れてしまう、それを「既に」知っているから、出逢うもの全てが「今まで見たことない」新しさに満ち溢れるんだってこと、だから「はじめまして!」って手を振るのだ、だって「イルカが手を振ったこと」を知らないんだからね。
「あとのまつり」感想。


1979年生まれの監督が放つ魅力のひとつに「音楽」があります。音響設計もさることながら、「ヘッド博士の呪い」にかかっておらず、「彼方からの手紙」のあとに聴いた「LIFE」がはじまりであり、「宇宙 日本 世田谷」が決定打のような「時代の感覚」が強く存在しています。同じくそれを担う木下美紗都さんが音楽を(時に役者として)手がけていることが、「瀬田ワールド」を更に強く作り上げています。

上映後行われた木下さんのライブは、着席のお客が間近でとてもやりにくかったと思いますが、緊張感をはらみつつゆるゆるほのぼのと進み、ようやくほぐれた感じでラスト2曲の広がりがよかったです。
今回これまで起用された楽曲を収録したアルバムも出るそう。→ 「瀬田なつき×木下美紗都 SOUNDTRACKS


そして監督と主演の染谷将太くんのトークショーも楽しかったです。
監督は小柄で愛らしいというかキュート!チャーミング!ボケ風味な可愛らしさがすてき。時折つっぱしったような?ところを持ちつつも、気使い屋さんなところが伺えて、人柄のよさが滲み出ていました。
対して染谷くんはクリっとした瞳がキレイ〜。大人びたところがあるけど、笑うと無邪気なコドモっぽさがあって、とっても魅力的。伝えたいことを言葉を選びながら丁寧に話してくれて、聡明で感受性豊かな印象を受けました。まだ高校三年生!大の映画好きで夏休みはPFFで過ごし、普段はヴェーラに通っているそう。恐るべし…。
演出に関して染谷くんいわく、「(演技について指示する)言葉が抽象的なんだけど的確で、その言葉がからだに染み渡ってくる感じがあった」というような言葉が印象的でした。
また、過去作品を見る限り「きっちりと決めていて、役者はその通りに動く」やり方だと思っていたところ、その場で作り出すやり方で驚いたそうです。そして、移動のバスなどで監督とあれこれ話しあって決めたことを、まーちゃん役の大政絢さんに持ちかけたりしたとのこと。
そんな2人の関係性がなんだかとってもあったかくて、いいコンビで何度も笑っちゃった。次回作にも出るのかな?
染谷くんは「あとのまつり」が大好きでもう何回も繰り返して見ているそう。この作品のロケーションの良さを話していて、舞台である豊洲周辺を「キレイな街並みなんだけど、不意に空き地があったりする」(混在しているような)ところが魅力的だと言うのを受けて監督が、ここが”東京オリンピック開催予定地”であったことから「今のこの風景を記録しておきたい」という思いもあったことをおっしゃっていました。
また、nobodyから「みーまー」別冊が発行されるとのこと。

来週に迫った公開が更に楽しみになりました。サイン付きポストカードが特典の前売りを買いましたよ!

*1:画像はそのスチールです