PET SOUNDS RECORDは街の素敵なCD屋さん

お散歩してていつのまにか辿りついた武蔵小山。戦前からの歴史を持つ古い商店街は空襲により焦土と化したものの復興し、今も地元民で賑わう庶民的な街だ。しかし駅の地下化による再開発で入口はがらっと変わり、ごちゃごちゃとした路地に密集する呑み屋も無くなってきている。その空き地では猫がぼーっとしていた。
商店街を歩いていたら既に閉店された「街のレコード屋」があって、緑色の軒先に「PET SOUNDS RECORD」って書いてあったから、こんな名前の店だったら行きたかったなあって残念に思った。そしてぐるりと歩いて駅の向こう側にCD屋があるのが見えた。建具は緑色、入口に「A LONG VACATION」のポスターが貼ってある!あ!まさか!
駆け寄ると

「PET SOUNDS RECORD」、ここに移転してたのか*1
入るとすぐに「A LONG VACATION」、熱のこもった展開に嬉しくなる。国内盤新譜を中心に揃えているまさに「街のCD屋さん」。オリコン的な人気アーティストもあるけれど、洋楽が充実してて、そりゃもちろん!なビーチ・ボーイズに、オールディーズ〜60〜70年代の洋楽はもちろん、最近のもの(ベルセバとかJONNYとか)もずらりと揃ってる。彼らに影響を受けた日本のミュージシャンもたくさんあって、いまだと大橋トリオや青葉市子さんがプッシュといった具合。当然ナイヤガラやはっぴいえんど関連は大充実。更にJAZZもクラシックも…オールジャンルで、どれも丁寧な手書きコメント付きで店主さんの素晴らしいセレクトと推薦ぶりがさりげなく、しかし掘れば掘るほど濃厚に伺えるのです。
とにかく「こういう音楽があるんだよ」って店主さんの愛情と造詣の深さがヒシヒシと感じられて、それも押し付けがましくなく、丁寧でスマートで、あああもう、客としてはすっごくワクワクして楽しくって!
中古ではなく新譜でこれだけのことをやっていらっしゃることがすごい!ナイヤガラやレココレな界隈の方々には有名なお店かと思われます、今更でごめんなさい。
60’sのガールポップあたりを買おうかな〜と思いながら、これを購入したのでした(なんか申し訳ない…)。

4 Women No Cry 1

4 Women No Cry 1

ジャケに強烈に惹かれたのでした。ここの品揃えでは異色かもしれないエレクトロニカのコンピ。Monikaによる女性ミュージシャン、それもアルゼンチン・グルジア・フランス・オーストリアの4カ国4人を集めたもの。ふわ〜んと漂う音像がここちよい、まさに直球エレクトロニカな音。
レジに立つ店主さんは60歳ぐらいでしょうか。若き日にビーチ・ボーイズを聴いた衝撃が愛情に変わって、ずっとそれを保ち続けていらっしゃるのだなあ。

この街で生まれ育ってこの店で音楽に出会ってゆくなんて、とっても素敵なことだ。また、こんにちはってこの店に行こうと思う。
http://www.petsounds.co.jp/index.html

CDショップのことを考えると、昨年閉店したHMV渋谷のことをどうしても思い出すのだけど…。店はどっかから運んできたモノを売るハコではなく、店を切り盛りする人があってこそだということ。店=人である、ということ。
【参考記事】「雑感」・「HMV渋谷ラストデイ

*1:もともと駅前にあったところ再開発で一時移転を余儀なくされ、再び戻ったようです。私が先に見かけたのは仮店舗だったみたい