311→422

新代田FEVERにて。2010年2月以来のdipライブは本来、3月11日に予定されていたもの。ようやくやってきたよ。夕方から妙に緊張して変な気分を振り払うように新宿から新代田まで歩いて向かった。あの日あの瞬間は恵比寿から渋谷に向けて歩いていたとき、だった。その後どうなるんだろう?ってまとまらない気持ちを抱えながら歩いた道なりを思い出す。あれから1ヶ月以上経ち、ソメイヨシノは葉桜になり、八重桜がポンポンと咲いていた。

まずはdipsession。4人のギタリストのみで編成されたバンド*1で、めちゃめちゃカッコヨカッタ!あー私はこういう音好きだなあ。こんな編成でかっこよくないわけがない*2! 静かに広がる音は次第にぐしゃぐしゃ混沌としながら街を過ぎ、たっぷりと水を讃えた黒い河を流れていく…。ジャームッシュの「ダウン・バイ・ロー」を思い起こして、震えてしまった。たぷんたぷん、とひとり泳いでいき、そしてまたぐしゃぐしゃと集まりながら、街に日々が戻って行くような。最後、祈るようにギターの音色は眠りに就いた。ああ、かたちにならない映像が浮かぶなあ。音源化してネットの海を泳いで、いろんな国のいろんなひとに聴いて欲しい。この先にある音を聴きたい。
次はTHENOVEMBERS、会場のほとんどを占める若いファン(=彼らのファン)はPSやmini読んでいそうなイマドキおしゃれな感じで、この機会に彼らの生活意識調査をしたいなあと場違いのおせっかいなおばさんは遠くから見ていたのでした。。。以前も対バンで見たことがあるのですが、なんかこう今ぐんぐん人気が上がっているキラキラ感がありました。やっぱりlove to sleepなころを彷彿とさせる。後半、すごくカッコよい曲あったなー。

で。dip。スペーシーなSE*3と絡まりながら「粘膜の宇宙」、ぞわっとした。音の質感…重量…体に染み付いていた印象を遥かに凌駕していた。浮遊感あるのに音に根があるというか、重くないけどふらふらしていないというか、ゆっくりと旋回する音に浮かびながら、帰ってきたんだなあって胸がいっぱいになった。続いて「空に揺れたい」、聴いてたらなんだかここが90年代のqueの気がしてきたよ…涙(年取った証拠…)。「鬼火」の楽曲になるとまわりの若い子たちもノッてきたのでちょっとほっとする。。。「DELAY」を聴いて自分内で興味深かったのが、今の私にはぴたっとこなかったところ。もちろん好きな曲だし、轟音な演奏も素晴らしかったけれど、この曲に込められた蒼さに入っていけなかった。こういう感覚の変化は常に合って、またしばらくするとぐっと来たりするから不思議なものだ。そこに「曲は生きている」ことを実感する。いつもおんなじように聞こえるのではないということ。
それを再度実感したのは次のカバー曲だったか新曲だったか…なんだったっけ。こういう曲のが、今の私には特にぐっと来る。不穏な空気をまとったスリリングな曲。ヤマジさんも本領発揮というか、ぐわっとテンションが上がった感じ。「she cracked」〜「LUST FOR LIFE」は血が昂ぶるなあ!ずっとずっとずっと聴いていたい。鳴り止まないでって思った。
さてはて敢えていえば、時折もったりとしてた。いつもならスタッとタイトに落ちてきて、きもちのいいところにぐさっと刺さる瞬間があるんだけどなあ…と「bend your head」や「it's late」を聴きながらもやもやしてしまった。でも最後の「9 souls」、後半ギターがジャッと火吹いてからのシャウトで一掃されて、血が通った気がする。

長い「準備期間」を経て、こころから楽しんだライブでした。こうやってライブを再び見ることが出来て嬉しい。たくさんの人々へ感謝。会場も盛り上がってたなあ。
今年はコンスタントにライブして、ますますカッコヨクなるdipの音を聴きたい!私はこれまでもこれからもdipがだいすきです。余談ついでに言えば、ヤマジ作イラストの缶バッジが欲しいです。

*1:メンバーは「YAMAJI (dip),beratrek (BERATREK & The family STONED,qyb),TAN (Hirocinema,Loco-apes),SASAOKA (Dive[jpn], Astrobrite Japan Unit)」以上、公式サイトから引用。ステージ上はまるで見えず…

*2:最初ブランカみたいなのかなとも思ってたけどそれとも違って

*3:セットリストによると「forbidden planet」ですと?!なぬ?!