奇跡

是枝監督最新作が「JRのタイアップによる九州新幹線が題材の企画で・両親が離婚した兄弟が主人公・主題歌がくるり」と知ったときは、その完璧過ぎるお膳立てにイヤ〜な気分になったものです。そんなナナメ加減で見始めたからか、意外と楽しんで鑑賞しました(エラソウ)。
私としては2009年秋の鹿児島旅を思い出しながら、いろいろ嬉しくなったのでありました。
 → 桜島の灰!(旅日記より「桜島と共に」をどうぞ)
 → 大好きかるかん!(旅日記より「鹿児島の甘いモノ」をどうぞ)
そんでもって私の父は和菓子職人なのですが、おおさこおじいちゃんが明石家*1のかるかんを「勉強のために」食べる様が、父にそっくりでタマランものがありました。ちょっともぐっと食べて、ゆっくりと噛んで、頭のどこかで考えながら食べて、包装の原材料を目を細めて見る仕草が、もう…ねえ。


電車好きとしてはいかに電車走行シーンが拝めるかとワクワクし、冒頭に「ジェイアール東日本企画」とバーン!と出てウヒョーっとなるわけですが、見てビックリ、JR九州の列車映画にも観光映画にも全然なっていない!*2 *3 JR九州の方々はポカーンとしなかったのかと謎*4…。
 (九州新幹線を見たいアナタにはコチラをどうぞ → 旅日記より「鹿児島を離れる」 カワイイつばめがお楽しみいただけますよ!)

描かれる風景は地味な田舎街で、繁華街は殆ど出ないし名だたる観光スポットなんて勿論出ない。鹿児島市郊外で暮らす人の「日常」が映しだされ、「大冒険」に至る日々が幾分冗長なほどに描かれることで、鮮烈なクライマックスシーンに繋がっている。水戸岡デザインの817系普通列車*5が走る。通勤通学の人々が乗り込むその車両が子供たちにとっての冒険列車となるけれど、過剰な演出はなく、普段どおりに使ってる様が描かれる。そして冒険を経て、あっさりと帰った日常は劇的に変わることはないだろう。でも、きっと、、、とスクリーンの向こうの彼らを見送るのだ。


まあ、気になる点も多々あり。「子供ってこういう物」という是枝監督の定義が感じられてしまう。大人が見たら喜びそうな「子供の世界」で、ある意味「はじめてのおつかい」的用意周到な展開に白んでしまうし、ドキュメンタリー出身の人が「ああいう演出」もするってのはイヤな感じだなあと思ったりもスルわけです。相変わらずな記号的な食事シーンとかも。ガリガリ君やポテチの使い方とかも。なんでいつも「夏」なんだろってね。うーん。
ああそうそう、川内駅の車掌さんの「鹿児島隼人」な濃ゆい顔立ちに「そうそう、この顔この顔!橋爪功は生粋の鹿児島人にしてはあっさりした顔立ちだよなー!違うよなー*6!」っていうのは、まあ無理な話しですけど。
ところで主人公兄弟は子供だけどお笑いコンビなの?今回初めて知ったのですが、弟のうさんくさいイイ子過ぎる笑顔が演技なら凄い。

*1:いろいろな店の食べたけどここのはやっぱり一番美味しかったなあ。都内だと鹿児島の物産館とかで売ってますよ

*2:前々作にあれ?と思い、前作に憤慨したのでもういいかな…と思っていたけど、今回は列車映画だよね!ってトコで見に行っただけに、ズコー!

*3:そういえば雑誌のインタビュー(誌面忘れました)で「当初『九州新幹線を使ったボーイ・ミーツ・ガールなタイムリープもの』をオファーされたもののちょっとなあと思い、新幹線に乗るのではなく『見に行く』という話しを持ちかけたらすんなり通った」と監督がおっしゃっていましたが、うん、これでよかった、うん。。。

*4:水戸岡デザインを推し進める社風ですものね!そのへん耐久性はありそうよ!

*5:これが日常使いなんて羨ましい!

*6:ねねとジョーの子供なのにあの2人…。ふふふ。弟の「仮面ライダー」発言には笑ったケド