30分1曲ノンストップ勝負!

7月10日のライブの話を今頃書きます。この日のライブは文章にして外へ出すべきだと思うからです。もう1ヶ月も前なのにあのときの皮膚感覚を、私は思い出すことが出来ます。ぐわっとお腹の底から昂ぶるような、訳のわからない熱、頭が白くなるよな衝撃、私だけではなく回りのひとたちの尋常ではない興奮ぶりもシッカリと感じられたあのひとときは、宇宙図を描き、私のなかでパッケージされているのです。
フェスでの出演で持ち時間30分だし、このフェス全体が(申し訳ないが)私の好みではなく*1、なにしろ旅前日なのでさすがに自重したのだけど、「4人編成で、インプロ1曲ノンストップ」「初期のdipでキーボードを担当していたクジヒロコさんが参加」と記されたらもう、居ても立ってもいられなくなって、会場は駅前だし、午後6時から30分ってコトで「ええい!行ってしまえ!」と駆けつけたのでした。勿論呆れられましたが…。
しかし!行って良かった!!!

冒頭のフレーズで9soulsを元にしているのだなあと思ったけれど、一気に発展して違う場所にいた。高速で突っ走る反復反復なトランス感たっぷりで、ぽーんと宇宙に投げ出されてしまった。今ココにしか存在しない音があった。ヤマジさんの表情豊かで変幻自在のギター、ナカニシさんのタイトに刻まれる魔術的なドラム、ナガタさんのどしっと構える寡黙なベース、クジさんの摩訶不思議でキラキラしてるキーボード、4人が紡ぐ強靭でしなやかで艶やかな音とともに弧を描いて遠くとおくへ彼方へ、いったい私はどこへいくのだろう?いやいや、そんなことすら考えられず、dipの作り出す音の渦のなかでグルグルして、体が勝手に動き出す、変な踊りを私はしていただろう、とんでもない熱量なのにひたすらクールで、オソロシイほどの凄みが宿ったこんな音を聴いていたら、頭がオカシクなるに決まっている、そんなインプロな演奏から「9souls」のイントロが出た瞬間にブルルと震えた!そしてヤマジが叫んだ、そのカッコヨサ!サビのフレーズを何度も叫び、吐き出し、会場は更にヒートアップする!前の方でグギャングギャンと踊っている男性がいるのもすごく嬉しい。
益々渦を巻いて高みへ高みへと昇り詰めていく音はストイックで、でも快楽的で魅惑的で、スリリングで…このままずっとずっと鳴り止まないでと祈るように踊っていたらワーッとなってしまって、思わず声を上げてしまった、ギャー!

フルスロットルでオーバーヒートしたかのように高まって、もうこれ以上な地点へ行き切ったところでパツンッと音は止んだ。投げ出されてようやく地面に振り落とされて、夢から覚めたかのようにハッとして、呆然とした。まだ外は明るくて、夕暮れの柔らかい光がさしている。体内に刻まれた音を逃したくなくて大切に持ち帰ろうと急いで電車に乗り込んだ。
通常のライブでもまたこういうの聴きたいし、他のフェスでもどんどん演奏してほしいし、こんな音をフジのヘブンで聴いたらめちゃくちゃ気持ちいいだろうなあと思うけど、今回のようなパンクなイベントの中で敢えてやるのはなんともdipらしい気がする。
次回は10月8日(土)下北沢SHELTERです!ハコもいいのですっごく楽しみ!


この曲「feu follet」、すごくすごく好き。dipを知らないとか昔は聴いたことあるという人はまず、コレを聴いてみてほしいです。

*1:しかししかし、フードエリアに「草枕」が出店しててめちゃめちゃ驚いた!好みの店のひとつであるココにこの場で出逢うとは…もたれずスッキリとした味わいで好きなのだ!