Upside Down 〜クリエイション・レコーズと私

クリエイション・レコーズの創始者アラン・マッギーのドキュメンタリー映画なんて、”あの時代”がどんどん「歴史」になっていくのだなあと思わざるを得ないけれど、さっそく見てきました。
映画としては、「クリエイションの成り立ち〜セカンド・サマー・オブ・ラヴがもたらした喧騒〜オアシスの世界的な成功〜終焉」を関係者達の発言と当時の映像で振り返るシンプルな作りですが、これまで「音」と「雑誌」で知るだけだった世界がメリメリと肉付けされて、当時の様子が当時の私の姿とともにブワッと立ち上がってくる感覚*1はもう、タマランものがありました。各バンドのオモシロエピソードったら楽しすぎる!
それにPVや演奏シーンもスクリーンで大きく見れるし、大音量でガツーンと飛び込んでくる楽曲は当時から繰り返し聴いているのに、新鮮な発見があって初めて聴いたかのように痺れ、ワクワクしっぱなし。

こうやって辿ってみると、「クリエイション・レコーズとはアラン・マッギー自身」であり、だからこそ素晴らしいバンドが一本筋を通って数多く所属し、土台はブレなくとも「時代とともに変化していた」のだなと改めて思うのです。初期は荒削りなパンクでサイケでポップな音、中期はシューゲイザーでダンス・ビート、後期は王道な英国ポップ・ロック、などと無理やり言ってみるけど、クリエイションというレーベルの音の印象はハマった時期によって違うだろうなあ。








「Screamadelica」が生まれる流れやケヴィンさんの「loveless」レコーディング話には、自分が聴いてきた瞬間瞬間とクロスオーバーして震えました…。いきなり音楽がそこに生まれるのではないのだ。
Loveless Bandwagonesque Screamadelica

それにしても、返すがえす何度も書いてるけどこの3枚が、91年にクリエイションからリリースされているってスゴイことだなあ。。。



そして92年、ボブ・モウルドがSUGARとしてココからリリースする(正直クリエイションって印象まるで無い)ってのもUSオルタナグランジと繋がっていくのだし(TFCもそう言えるとこあるけど)。でブリットポップという大きな渦がやってきて。

そう、「音楽性が一貫している」のではなく、そのときのアラン・マッギーの「出逢い」こそがレーベルの全てであり、彼の人柄が「音楽を呼び寄せた」のだ。そこに魔法があった。彼はレーベル・オーナーである前に純粋なるリスナーだった。インディー・レーベルとは「流行とは無縁の、今自分たちが良いと思う」音楽をリリースし、「自分たちの手」で「分かる人」に広めていくことと言えるけれど、オアシスのあれほどまでの成功によって、魔法が解けてしまった。「supersonic」をクワトロWAVE店頭で初めて聴いたときに私を包んだ「時代が変わった」感覚を今も思い出せるってことは、彼らはそういうちからを持つバンドなんだろう。

この映画は誰かとワーワー言いながら見る環境でも楽しそうだけど、ひとりで対峙しながら見るといいと思います。そして出来ればスクリーンからいい音を浴びるように見て欲しい。


今週はジーザス・ジョーンズに始まってクリエイションで終わるなんてね、まったく90年代ノットデッドですよッ。
(各バンドメンバーの「今」の姿には歳月を感じるわけですが、中でもマーク・ガードナーがね、今の姿は既に知ってたけども、当時の”顔半分隠れる長髪のかわいらしい”顔 と 現在の”セレブ感漂う”アンディ・ベル と共に見るとやっぱり切ないなー、なー、なー…)
(追記)公式サイト見て今気づいたんだけど「音楽監督:マーク・ガードナー」って!! エエー!→ http://www.udcrs.net/

*1:田舎にいた私のあの頃、実家の部屋のドデカホーン、通ってた(バイトした)レンタル屋、ロキノンフールズメイト、BEATUK、VinylやzestやクワトロWAVE、あの店で働いていた日々、なんかも、ブワーっと蘇ってくるですよ…