新作3つ

「ル・アーブルの靴磨き」 監督:アキ・カウリスマキ 
ユーロスペースにて。キッチリと完璧な美しさを誇るショット、落ち着いたトーンに刺し色の効いた色調、服装から小道具にまでセンスのよさを感じさせながら、徹底的にスットボケてる様はいつもながら。でも「粋なトコ」がバージョンアップして、洗練されていたような。”ちょっと違う”クロスをかぶっている感じ。そしてやっぱり、性善説な奇跡を描きつつもアッカンベーって舌を出してるトコが好き。リトル・ボブかっちょいいー。レオーの顔かたちがドパルデューみたくなっててビックリした…。


「刑事ベラミー」 監督:クロード・シャブロル
(新作扱いとは違うか…)イメージフォーラムにて。見に行った日は、フランス映画祭の特別上映で”メルヴィル・プポー祭り”が開催されると知ってホクホクしてたんだけど、ベラミー見て、ドパルデューおじさんのトリコになっちゃった。「牛の呼吸」って台詞あるほどぜぇぜぇしてるんだけど! よてよてと階段を上がる姿!パジャマ姿のぼよんぼよんのお腹!…さわりたいぃ。細い躰のイケメンも勿論いいですが、てぷてぷッとしたお腹のおじさんの良さがわかるのですよ、今は、ええ。大人になるって素晴らしいね!そんなこんなで、道中を楽しむ映画というか、なんだかこう、旅みたいだなーっと台詞のひとつひとつにくすくす笑っていたんだけど、冒頭に吹いた不穏で奇妙な風は時折不意に背筋にスッと入り込み、ラストでは包んでいたアルミホイルがはらはらと剥がれたかと思うと、奥底から立ち上がってくるものがあって、ぞみぞみとして未だ離れない。シャブロル節。


「モンスターズクラブ」 監督:豊田利晃
ユーロスペースにて。ネット上で、異性のことを「◯◯は△だから※※だ」なんて決め付ける言葉を見かけるたびにイヤ〜な気分になる、、といいつつなんですが、豊田監督の作品をみるたびに「これはオットコのファンタジーだなあ」と思えてならないのです。今作もそれにつきて、やっぱり女性の描き方にも「そういうこと」を毎度思うのです、が、でも毎作なんだか気になってしまう。それは豊田監督の人柄につきるのだと思うのだなあ。今回は音楽が特に良かった!メランコリックなギターの音色をはじめ、ノイズがとっても印象的で、エンドロールでsachiko Mさんと知ってナルホド〜。音楽監督がZAKさんなので、音響も気持ちよかったな。