阿賀の記憶とお引っ越し

晴れた日曜だけど映画を見に渋谷ユーロスペースへ。
リバイバル上映の「阿賀の記憶」は公開時にも見ていて、こころのなかに白い破片が残っている。久しぶりに見た今日も冒頭の白い光に包まれて、阿賀の山の中、旅をした。阿賀に生きる人々を捉えた映像だけど、逆光に照らされて呪文のような会話に導かれて、私の中に積もる記憶と呼応するような映像。素晴らしかった。

続いてもう一本、まで少し時間があったので松濤の住宅街をお散歩。晴れて澄んだ青空が気持ちよい。渋谷と続く街なのに一本道を超えただけでまるっきり違う静けさ。並ぶ家々は大きくて立派でせせこましくなくて良い。こんなとこに住む人がいるんだよなあとほんとに不思議で清々しい。家を買う気はまるでないけど、これくらいドーンとした家じゃないならいらないよって思う(暴言)。
角を曲がると道は急な坂になり、トットコ降りるとバス通りになり商店が増える。そのまま進んで最近出来たお店でエッグタルトをお土産に買う。天気も良いしもうちょっと歩きたいなーと交差点を超える。公園ではリトルリーグの練習中。入り口で「あぶない」を見つけて小躍り。…とここでしまったっ戻らねば!と早足で引き返す。ユーロに戻ると開場していて、満席だった…バカー。。。今日は大きい方のスクリーン(145席)じゃなくて小さい方(92席)なんだよ…とほほ。

てなわけで相米特集の「お引っ越し」、家でしか見たことがなかったので映画館でずっと見たかったのだ。
レンコ役の田畑智子の漲る生命力と愛らしさ、あのまなざしを忘れることは出来ない。新人を発掘する目力のある相米監督とはいえ、よくぞ彼女を見いだしたなあ。必然に近いようなものに思える。この作品に限らずだけど、吸引力と反発力を併せ持つよな”強引”で”魅惑的”な映像をかっさらうかのよに瑞々しさを讃えて弾ける女優の姿って組み合わせが最強過ぎる。
ムーンウオークみたいな愛嬌あるちょっとしたトコからクライマックスの水と火柱のスペクタクルまで、映画とは何たる物かという意思と凄みに溢れていて2時間、何度目かでも立ちっぱなしでもあっという間だった。
「おめでとうございます」、あのシーンをスクリーンで見られて嬉しい。成長する/受け入れることを自ら祝福し奮い立たせるかのように世界へ向かって宣言する姿に息を飲む。
最終日の上映では田畑智子さんがゲストで登壇するらしい。見た直後にお姿拝見したら親戚のオバチャン並みな反応をしてしまいそうだ。。。そういえば最新作、まだ公開中だったかな。

どっぷりと浸かれて心地よく帰路につき、晩ご飯の買い物をして帰宅した。