100人の子供たちが列車を待っている

友人に好きな映画を尋ねたときに挙げていたこの作品を私は見たことが無くて、昨年CSの無料放送時にタイミング良くやっと見ることができた。ほんとうに素晴らしくて嬉しくなる映画だったから、下高井戸シネマで16mmフィルムで上映されるこの機会を楽しみにしていた。最近スケジュールが合わなかったので、ここを訪れたのは久しぶりだった。さりげなく映画愛に溢れたロビーはいいなあ。映画館で知らない誰かとスクリーンを一緒に見つめる。その行為がこんなにも似合う作品も無いだろう。ここで見ることができて良かった。フィルムの状態はだいぶノイズが多くなっていたけれど、たくさんの人々の心に刻まれた証なのだろう。スクリーンで見たら音楽が実に良いことに気がついた。
軍事政権下のチリで貧困状態で暮らす子どもたちに「映画を見る喜び」を伝えていく。映像に驚き、歓声を上げ、キラキラとしたまなざしを浮かべてワクワクしてるあの表情ったら!紙で簡単な”映画の原理”を作り出し、知らなかったことに気付き、蓋をしていた自らの想像力を膨らませる。遂にみんなで映画を見にいくところもいいな。バスに乗ってさ。
たった60分、だけど濃密で幸福に満ちあふれた60分。胸につけるバッジのような映画。
http://www.pan-dora.co.jp/movie/06003/