”澄んだ”街、郡上八幡

GWに向かった岐阜の旅日記を綴っています。
1.「柳ヶ瀬〜再生する繁華街
2.「岐阜市内ぶらり散策〜街ごとに特色アリ


さて。岐阜市から電車に乗って郡上八幡へ行くことにしました。岐阜駅からJRで30分、美濃太田でローカル線の長良川鉄道に乗り換えます。


小さな各駅停車の列車は、清流を眺めながらののんびりと川沿いを進みます。青く輝くちょうど良い時期に来たなあ。

1時間30分ほどで郡上八幡駅へ到着。

改札を出ると駅舎内に「ふるさと鉃道館」という一角があり、国鉄時代の地方路線における備品が展示されていました。

なかでもこけし切符が!カワイイ!

結構な人数が降りたのにあっという間に駅前には誰もいない…。みんなお迎えの車やバスで行ってしまった…。私しゃここから歩くよッ。


駅から続く道は昔からの商店街、ポツポツと店が並び、スーパーがあったので覗いてみると午前中からなかなかの賑わいがあります。そして、こんなお店もあってちょっと驚く。

暫く行くと、郡上おどりに興じる人形のアーチがお出迎え。

郡上八幡といえば、重要無形民俗文化財である「郡上おどり」。江戸時代からの伝統的な盆踊りで、毎年7月中旬から9月上旬まで延べ32夜にわたって(!)寺社の境内・一般道・街角の広場など、会場を移しながら開催されるそうです。ハイライトともいえるお盆頃はたくさんの人出があり、メインストリートといえる新町通りには飲食店が多く、賑わいが想像できました。

古い和菓子屋さん、看板が素敵な「肉桂玉」はニッキをまぶした飴玉のこと、飴ちゃん。

昼時で混む前に食べようと、店に入りました。年配のご夫婦が営む、軽食甘味喫茶。オッチャンオバチャンなんて呼び方が似合う二人は夫婦漫才かという感じ、一押しの「カリカリ焼きそば」を頼みました。…カリカリとなッ?

うん、ほんとにカリカリ! 麺を揚げたのではなく焼きこんだ感じの”カリカリ”でおいしい!野菜はちと焦げてるけどまあよし。。。そこへ入ってきたお客さん、オバチャンと「久しぶり〜」なんて盛り上がってる。どうやら久しぶりに帰省した常連さんみたい。この店の存在が街の人にとってどんなものであるかが垣間見れて、こういうのウレシイ。



そして通りを再び歩くと中ほどにこんな小道。石畳が美しい。玉石で模しているのは花火なのかな・・・

更に進むと郡上八幡城の入り口に到着。小高い山の上にあり、山をぐるぐると回る道を歩いて登ります。
ヘアピンカーブ!
木漏れ日がキラキラ
陰影が美しくってほへーっとしていると、車がぐいんっとやってくるのであわあわとしてしまう。こんな狭い山道に車?!2台づつ数分置きにやってくるので規制はされているようだけど、こんな急勾配ヘアピンカーブを上がる車は大層タイヘンそう。んでも動力使わず登ってる我ら人間はもっとタイヘンよ!ひいこらひいこらと歩いていくと、、、
 城!
城の展望台から街を見下ろすと・・・
 この形は。。。
山間に広がる町のかたちが「魚」なのでアル!(ってコレはホントにそういわれてるらしいデスよ)

こちらは鯉のぼり。家の佇まいとあっていてカワイイ。

街中に戻り、散策を続けます。路地裏に小さな川があり、誘われるように辿るとサッカーボールと戯れる父子がいて、その傍らには喫茶店がありました。

珈琲豆の麻袋を掲げていて、なかなか良さそう。ガラガラ〜と引き戸を開け中に入ると、続けてやってきた男性が、、、って今サッカーをしてた人!この店のご主人なのでした。珈琲をお願いすると、話かけてくださいました。東京から来たことを話すと「この街はまわり近所、みんな仲いいんですよ、大人が周囲の子供の面倒を見るしね、、あ、さっきサッカーしてたのは近くの子」…え?このひとの子供じゃないのか!そして岐阜市に宿泊して今日はこの街へ来たことを話すと、ご主人(30代半ばくらい)はもともと岐阜市のほうに住んでいて、店をはじめたくて市内で探したところ家賃が高く断念、そこへこの物件(カウンターのみで、もと居酒屋っぽい)に出逢ったそう。こんなところでやるなんてと反対されたそうですが、始めて2年、近所の方々の社交場にもなり「なんとかやってます」という。話し上手聞き上手な方で、まわりから人が集まってきそうだなあ。それと、天気もよいので入り口が開いていたのだけど、前に流れる小川の見える風景が良くって穏やかで心地よい空間なのです。店とはいえ外と一体化している感じ…。
さっきの焼きそばの店も、後で立ち寄った味噌屋など、どの店の方も朗らかに話してくださることが印象的でした。


さて一休みして再び街歩き。街角に掲げられた木製看板には、職人町、鍛冶屋町、などと書かれており、この江戸時代からの古い町名が今も残っています。

家々の軒先には消火用バケツが下がり、足元には水路が巡っています。これは江戸時代に町全体を焼き尽くす大火に見舞われたために、川の上流から水を引き入れ、町並みにそって縦横にはしる水路を建設し、これを防火用に使用したそうです。また、各家では堰板をはめてこの用水を生活に使用できるのです。

水神の小祠の下から湧く水は「宗祇水」と呼ばれていて、飲料水/野菜洗い場/洗濯場に仕切られ生活用水として使われています。ただ昔はもっと質素な空間だったのではないだろうか。観光用にちょっと小奇麗にした感じがあるのよ・・・

湧水の前は小駄良川という川が流れ、その向かいの家が!ギリッギリにギュギュッと密集しており、その姿たるや。

川の透明度が伝わるでしょうか。


こちらは吉田川、市街地の中央を流れる長良川最大の支流。

碧く透きとおった水の流れ!この清流めがけて、橋の上から子供たちが飛び込むことで知られているようで、郡上八幡に生まれた子供たちにとってはまさにひとつの「通過儀礼」なのでしょう。しかし近年、観光客が飛び込むなど問題になっている模様。注意勧告の立て看板もありました。長年の伝統の中で語り継がれた暗黙のルールなど考えることもなく、遠くからやってきた縁もゆかりも無いものがはしゃぐことで歴史が消えてしまうとしたら、あまりに哀しい。。。

青空の下、陽射しをいっぱいに浴びながら、樹々の緑と川の清流を眺めながら歩く。あんまりにも気持ちよくって、幸せだー。
(ここでネットラジオで「punk/new wave三昧」をつけてみたらthe jamが流れてシビレタ!川岸でポール・ウエラージャンプですよ!)

ブレブレですが・・・


さて駅へ戻りました。

(ここで再び三昧つけたら、ジョナサン・リッチマンですよ!ロードランナーですよ!うきゃーーーー!)

反対方向に電車が来たところに鳥が!(山の上の黒いのは、塵じゃなくて鳥です)
ホームに貼ってあった「郡上おどり」のポスター。

この絵、どこかで、、と気付く。町中にあった散策道の石畳、花火じゃなくて「郡上おどりの輪」を表していたのかー。


夏のあいだ町全体で踊り明かし、周囲の町からもたくさんの人が集まってくる郡上八幡に暮らす人々は、みんな仲良く輪になって笑顔を交わし、美しき水を守り、この町を守り、人々を迎い入れてくれる”澄んだ”街でした。


旅日記、トントンと綴れずなかなか進みませんが、あと少しおつきあいください。
次回は犬と猿と鳥、そして怪しげな輩がイッパイ登場するヨ!