「すかんぴんウォーク」

今宵はレイト。お茶の水ユニオン寄ってから来たものの、神保町の夜は地方都市並みに早い、早過ぎる。シャッター閉まりまくってて行くとこないがな…。美味しいカレーと珈琲に本と音楽がのんびり味わえる禁煙の店があったらいいのにねえ。神保町と云えばカレーに喫茶店などと良くいわれるけれど、私の好みの店が無い…。古い商店は壊されて駐車場orマンションorテナントビルにチェーン店ばかり。



神保町シアターの「吉川晃司映画祭 〜"民川裕司三部作"一挙上映〜」の一作目。DVD化もされていなく、私はどれも見たことがなかった。料金500円!この英断はスバラシイ。
民川裕司がスター街道を突っ走るサクセスストーリーかと思ってたら、彼が出逢う人々の、真っ当には生きられない姿を描いているのが印象的で、特に山田辰夫の哀愁がたまらなかった。持つものと持たざるもの。鹿取容子はデビュー曲で売れた後の低迷期だったみたいだけど、それであの役柄って…恐ろしいわー。
ようやく事務所に拾われてスターにいきなりなってたり、ストーリーのすっとばしっぷりの反面、妙に時間とって描くところがあったりとか、キャラが立った大人たちがオチャラケて描かれるという構図は、確かにあまっこ的?かも。2人の関係性とかも。
制作は1984年。冒頭の空撮で見える東京はやはり高層ビルは少なめだし、瓦やトタンの屋根が目立つ。80年代前半の意匠*1にもいちいち反応してしまうけど、洗練とはほど遠く感じられるのは、私が子供の頃とはいえ当時を知っているからかしら。。。「オチャラケ」た案配が、”軽薄”と称される時代の気分なのかなあ。でもまだ70年代を引っ張ってる感じもあって。
吉川晃司はナベプロが社運をかけて売り出したとはよく聞く話しであるけれど、この映画見る限りどう売り出したかったのかが謎…。無理矢理東京湾バタフライはギャグにしか思えないけど、当時は真剣だったのだろうか。それと隙のないカッコ良さよりも、親近感を出そうとしてたのかなあ。そのへんは80年代だから、かなあ。
まあなんといっても、吉川晃司自身が映画以上にドラマチックな芸能生活を歩んでいることが、スゴい。

*1:新宿紀伊国屋2階に帝都無線(!)の看板、「PiL 日本 '83 発売中」てあった!撮影した期間がちょうどそのときだからこそ。その向こうに山一証券の看板あるのも泣ける…