「ウォールフラワー」

ヒューマントラスト渋谷で見ました。若い子とスーツ姿の30〜40代男性が目についた。
smithが使われるのは知ってたけど「Asleep」・・・。マーさんギターのないこういう曲が人気というのが、ある意味アメリカらしいなと思う。
冒頭の雰囲気で勝手に気分は80年代、中頃〜後半のつもりで見ていたところ「Teenage riot」がかかってオオッと昂る。この曲の殺傷力は強いなー、時代の空気が変わった。80年代の終わり際。「ヒットチャートを聴いていた自分を恥ずかしく思う」彼らが語るのはニューウェーヴなUK音楽がメインで、NEVERMINDニルヴァーナ前夜な感じがするけれど、マイ・セレクトテープにシャッグスが入ってたりするのは、カートの影響?でもそれってデビュー当初から言ってた話かなー?そこにニック・ドレイクも加わるよな選曲センスは当時のアメリカでもあったのかしら。そしてデビット・ボウイの「heros」が「ラジオでかかってて知った”完璧な曲”」として使われる。有名な曲でも世代が異なると知らないのは確かにあるし「ラジオで聴いたけど曲名がわからない」というのもわかる(今はすぐ調べられるものね)。ただネタとして引っ張り過ぎなのもズルいよねえ。「heros」は勿論素晴らしい曲だけど、この曲がキーポイントというのは当時の感覚的としてなにかが違う気*1がする…。カラックスを思い出したけど、使われ方がまるで違うし。。。
これらの楽曲に出逢った彼らが通ったレコードショップでの話を見たくなる。「ハイ・フィデリティ」みたいな店主いるようなの想像しちゃうなあ!
時代考証をしっかりしろというわけではなく、音楽が話しのポイントとなっているだけに日米の音楽シーンの違いを超えた部分で、ちょっとしたモヤモヤ感。。。そのうえ「自伝的要素のある原作をその作者が監督した」ってコトを知り尚更……。絵的にぐっと来るシーンも無く、主要登場人物の役柄にも役者自身にも惚れるトコロがなかったなあ。トラウマ祭りはつくりものとして仕方ないとはいえ、みんな基本的にイイ子で物わかりもよく、言葉で説明される箇所も多いために薄く感じてしまった。
作中の彼らよりもその後の彼らが気になってくる。独り立ちした90年代にどんな音楽に出逢い、今どんな人生を歩んでいるのだろう? そうそう、先生はとてもよかった。彼が歩んできた道が垣間みれるようであり、だからこそ橋になろうとしている眼差しが。
なんだかこう、、、好きなミュージシャンが同じでも話しが合わない人って映画だった、私には。終始傍観者的に見てしまった。そういう気持ちをうまく言葉にまとめにくくて、感想なかなか書けなかったです。
セレクト・テープはもっぱら「自分のために作るもの」なひとりな青春時代を送り、かといってイタいトラウマも何もない私なので、妬みが混ざってるの…かな…。

*1:追記:この映画自体が過去の振り返りなんだけど、キーになる部分に当時既に評価が定まっていた曲や演目を使うのは残念な気がするのです。あんなに同世代の新時代なバンドが出てきたときなのにー