京橋「小津安二郎の図像学」→日比谷「井下清と東京の公園」


先日、午後休を貰って京橋フィルムセンターへ。ここの上の展示室に来たのは初めて。常設展の「日本映画の歴史」、古い映像やポスターなどとても楽しい。明治時代の南極大陸での映像がすごかった!ペンギンがウロチョロしててナントモ愛らしいと思ったのもつかの間、探検家たちがペンギン蹴っ飛ばしとるがな……。古い昔の映像に映る動物ってやけにぐっとくる。「東京の街」な映像では犬がトテトテ歩いてたけど、人物よりも生々しい印象がある。人よりもずっとサイクルが短い彼らがいたほんのひとときがこうやって残されて、時を超えて出逢うことができる。ロマンチックではなく、リアルな感じ。
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さて続いて本命の「小津安二郎図像学」、すんばらしかった!これは見に行くべき!しかもたった200円でいいのって申し訳ないくらい。
映画に使用した梅原龍三郎などの絵画の数々。人物の後ろにアクセントとして置かれる絵画だからこそおろそかにせず、当時の画家たちを起用する造詣の深さ。中井貴恵に送った葉書には佐田啓二などの似顔絵がさらっと書かれた茶目っ気さ。絵コンテや美術案、衣装用の参考生地など見応えたっぷり。子供の頃の習字などの美しさに監督時代につけていた日記の細やかさなど、ああ小津安二郎と云う人は持って生まれた素質があってこそ、あのような映画をつくりだすことができたのだなとつくづく思う。
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有楽町まで歩いて(すぐだけど)、交通会館の1階のとこにワゴンカーの珈琲屋が出ていて、よく見かけるアレではないしドリップコーヒーを頼んだ。豆はブラジル。きちんと淹れられてて美味しく、店員の女性がとても感じが良くてそれだけでも珈琲の味わいが増した。
正月の火事の跡はあまり感じなかったけれど、さすがに閉店しているし、駅前もどうなるのだろうか。そしてももやのおじさんは今も元気でいらっしゃるのかしら。
向かいのファッションビルの中にあるヒューマントラスト(という映画館の名前は嫌だなあ)にて新作映画鑑賞。内容はまた改めて。

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映画はとっても良くって胸イッパイになりつつ、有楽町駅の向こう側へ進んで、マリオンのある角を曲がる。しばらく持て余した空き地状態だった三信ビル跡は白い工事中の塀に囲まれていた。日比谷公園へ。
「緑と水の市民カレッジ」って何処?多分いちばん奥、と公園の中をナナメに歩く。あんまり時間がなくてのんびり歩けない。
ここ?って感じの建物のなかへ。「井下清と東京の公園」展を見る。

明治から昭和にかけて、東京の公園緑地の発展に多大な貢献を果たした井下清(いのしたきよし)。その業績は全国に波及し、今も色あせることなく、さまざまな形で継承されています。井下は歴史・文化の保存継承、公園墓地整備、次世代の育成などさまざまな状況を予見し、問題提起し、解決策を見いだしてきました。
平成26(2014)年は、井下清生誕130周年にあたるとともに、井下が尽力した東京都公園協会設立から60周年の年でもあります。これを記念したこの展示は、彼を初めて知った方にはその公園緑地に対する思いが実感され、日々公園に訪れるなかで先人の存在を思い起こしていただけるように、また公園緑地事業に携わり、あるいは志す方には先見性に触発され、今後のヒントが得られるようにとの願いを込めています。東京の公園、日本の公園の歴史に欠かすことのできない、緑に生涯をかけた彼の哲学をご覧ください。
公式サイト(http://www.tokyo-park.or.jp/event/2013/12/i.html)より引用させていただきました。

この展示を知ったのは、新聞の東京の都市開発の記事だった。
井下清の名は初めて知った。行政に携わる人の思考と行動によって今の私たちの生活があるのだと、都知事選を前にして改めて実感する。次世代を見据えて何を考え何をすべきか。設計家に大学を出立ての若者を起用したり、行政側だけでなく土地を提供するなどの財界人の行動も極めて重要で、これらの話が幾分美化されたものとしても、様々な点で今足りないものがあるように思えてならなかった。
展示自体はパネルと図面で構成されたこじんまりしたものだけど、熱意が伝わってきてとてもよかったなあ。今回の含めてこれまでの展示の図録をまとめて購入してしまった。
会場の「緑と水の市民カレッジ」は東京の公園や緑地に関する貴重な資料が所蔵されているとのこと、また改めて利用したい。

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このビルも壊しちゃうんだよねえ。栄枯盛衰。
夕暮れ。三田線内幸町駅から乗車して神保町へ。旧作映画を見た。これについてもまた改めて。さっきみた新作とうまいこと繋がりあう感じ?な内容。


見事にまるっと素敵な流れを見せた午後のお散歩。大満足。