若い季節

朝目を覚ますと、ガリガリと路面に積もった雪をかく音、ドサッと軒先から雪が落ちる音、子供たちのはしゃぎ声、遠くからサイレンの音。次第に青晴れ間が覗き、都心のビル群が澄んで見え、青空がキラキラと光ってきた。いつもと違う朝。
図書館に寄り、投票をし、散歩をし、ラーメンを食べ、散歩をし、珈琲を飲んだ。いつもと同じようでいつもと違う日。これからこの街はどのように変貌するのだろう、見えるカタチで見えない部分で。今から行なわれることがたった6年後ではなく、30年50年、100年、誰にもささやかな光が降り注ぐ日々であることを見据えたものでありますよう。


若い季節/続・若い季節(DVDツインパック)

若い季節/続・若い季節(DVDツインパック)

先日のこと。ラピュタ阿佐ヶ谷にて、特集「お茶の間からスクリーンへ!劇場版のおたのしみ」ラジオやテレビで人気を呼んだ番組の映画化作品の中から、「若い季節」を見た。

飲む白粉、液体口紅など、画期的(?)な新製品の開発をめぐって争う二つの会社、プランタン化粧品VSトレビアン化粧品が、歌あり笑いありのドタバタ騒動を繰り広げる。NHK日曜ゴールデンタイムの人気番組を映画化したお仕事系青春コメディ

と「特集の説明文」にあり、当時の宣伝コピーでは「豪華!この顔ぶれこの面白さ!パリ仕込みのミステリー?青春大型喜劇!」であったという。プランタン化粧品の社長役に淡路恵子、宣伝部のお気楽社員の植木等に小間使いの坂本九クレイジーキャッツは総出演だし、ジェリー藤尾青島幸男に・・・TVというよりテレビジョン、昭和37年の高度経済成長まっただ中のハイテンション&お気楽極楽浮かれムードに包まれた、良き時代のミュージカルコメディ映画。坂本九植木等がお互いの曲を唄うなんて粋な計らいもあった。今のアイドルでもミュージカル映画撮ればいいのになあと思う。
皇居〜丸の内周辺の空撮に始まって、社屋の屋上から見える東京駅駅舎、銀座の目抜き通りや赤坂プリンスホテル(今移設工事してる旧館!)などの風景を発見するのもまた楽しい。再びのオリンピック開催で変貌する前に、こうやってバンバン映画撮って東京の街を映像に残して欲しいなあ!
淡路恵子がすっごくキレイだった。終盤登場した謎の外国人、誰?と思ってたら彼女の元夫のビンボー・ダナオでビックリした。この賑やかで華やかな雰囲気を大いに笑いながらふと、みんな(でもないが)亡くなってしまったのだな……とちょっと哀しくなる。沢村貞子の料亭のおかみがいい味でした。着物の着崩しっぷりとオカンっぷりがたまらない。
アレコレあっても苦笑いで済ませられる時代性もあるだろうけど、こういう娯楽作が可能な国であってほしいなと、つくづく思う。