ミンヨン 倍音の法則

過去のテレビドラマ作品を数作しか見たことがないのだけど、佐々木昭一郎監督の19年ぶりの新作にして初の劇場映画ということで、とても楽しみにしていました。
しかし正直なところしんどかった・・・。豊かなイメージと詩情に溢れた鮮烈に心に残る美しい映像と音の力は驚くほど弱まり、頑な想いが過度に立ってしまったようだった。そして佐々木監督は主人公に抜擢したミンヨンが大好きなんだなってシーンの連続でしたが、私には彼女は素直すぎて、、、かつてA子役を演じた中尾幸世さんは稀有な魅力を持った方なのだなあと改めて痛感する。
つくりとしてはイメージのかけらをつなぎ合わせたような、突飛な展開と反復を見せ、夢をそのまま映像化したような感じで、過去作と変わらない。けれど紡ぎ方や織り方に長い空白期間を感じてしまった。
ちょうど過去の作品を再放送しているので改めて向き合いたいと思います。

今更ながら追記するけれど、撮影は2010年と何かで読んだけれど、当時の渋谷の風景が収められている点で良い記録かもしれない。パルコpart2はまだあるとか。神泉駅周辺がやっぱり映し出されたのも嬉しかったな。ところで鑑賞したのは岩波ホール。会社帰りの最終回に駆け込んだ。もともと静かに眠っているような雰囲気だけど、見終わって人がいなくなった雰囲気はまた格別で見えない存在を感じるようなところがある。今回も最後に劇場を出て、エレベーターに一人乗って下に降り、守衛さんに挨拶されて駅へ向かった。