爆音上映に思うこと

現在公開中の映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を”極上爆音上映”している立川シネマシティが話題になっています。

常識破りの成功 映画館に革命を 立川シネマシティ「極上爆音上映」の野心
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/355/355161/

この映画館の試みは以前より目にしていて、このインタビューも「映画館運営」への熱意を至極感じるものでした。映画館としての固定概念を壊しチャレンジを続ける試みは、素晴らしい。


ただやっぱり私が「爆音上映」として思い起こすのはboidによるものです。
→ THE ”LAST” LAST BAUS」http://d.hatena.ne.jp/mikk/20140531/p1

boidは爆音上映の企画や映画配給、書籍・音盤の製作を手掛けていますが、社長であり爆音上映の発案者である樋口さんが、このような記事を書いています。

幻聴繁盛記 その14 (樋口泰人) http://boid-mag.publishers.fm/article/8815/
・音を大きくすると、音のそれぞれの表情が手に取るようにわかるようになる。大きな音だけではなく、それまではストーリーの背後に隠れていた小さな音が不意に顔を出す。それをいかに受取るかが爆音上映のひとつの醍醐味だと思っている。

・映画に人生のすべてが詰め込まれているとするなら、じっとしていたら聞こえてこない物語もまた、そこには詰め込まれているはずだ。パッケージされることのない物語のざわめきを聞き、それとともに生きる。自分の観たいものを観るのではない。音量を上げたときに不意に表情を変え動き出す音たちのざわめきを体内に注入し、その変化とともに映画を観る。それができるかどうか。

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boidの爆音上映は決して「大音量で、派手に、楽しめるように」上映することが目的ではありません。観客サービスのひとつでもない。まず重要なのは作品の選択で、音響の調整から上映に至るまで、通常の上映では隠れている微かなざわめきをすくい出し、私達に提示し、考える余白があるのです。これは映画を愛する優れた目利きたる樋口さんのまなざしあってこそ。


私は映画を見ることがご飯を食べるのと同等のような映画好きではない。boidを神格化するつもりはないし、映画館としての立川の試みも素晴らしい。ごちゃごちゃ言わずに楽しく見れればいいじゃんも勿論あり。けれど。
意志を高く掲げ、不器用にやり抜くboidの爆音上映を私は応援していきたいのです。