夏のタマちゃん祭りと森本美由紀展

タマちゃん the Onion: もうひとりの森本美由紀

タマちゃん the Onion: もうひとりの森本美由紀

8月8日、真夏の土曜の暑い日だった。この日はお昼にバインミー食べてバス乗って目黒美術館、またバス乗ってバス乗り継いで辿り着いた幡ヶ谷で「夏のタマちゃん祭り-タマちゃんってこんなコなの-」展。会場が移転オープンしたばかりのときに向かったコーヒー屋さんのトコの、リノベマンションだったからびっくりした。小さな部屋に森本さんへの愛が詰まった展示でした。森本美由紀さんといえば、まずタマちゃんを思い浮かべます。たくさんのタマちゃん(初期型からの変遷も)をみっちり見ることが出来て楽しかったなあ。スタッフのかたが解説してくださったのも嬉しかったです。タマちゃんは元々、原稿袋の片隅に「(締め切りに遅れた)お詫び」の一言と共に描かれていたことは知られた話だけど、その"小さな子"を世界に出してあげた編集さんの目利き具合*1や、原稿を"袋"で渡すことも、今はもう無いのだろうな。それとタマちゃんを連載してたのはわずか数年で、私はちょうどそのときにmcシスターを読んでいたのだなあ、そしてoliveに、そしてcutieなのだなあ。。。そんな気持ちを抱えながら坂降りて、カタネで買ったミルクスティック齧りながら代々木上原駅に出て新宿へ移動、ベルセバの映画見たんでスよ・・・(ちなみに追記。ワタクシ、「タマちゃん」と呼ばれていた時期があって、なんかこそばゆく嬉しくもあるのだ。)

さて次の日。根津へ出向き弥生美術館へ。本丸:森本美由紀展は、森本さんへの敬意に満ちた素敵な内容でした。墨で描いたスタイル画の「迷いの無い」線とベタの残し方、余白が美しくて見惚れた……。森本さんの意識を感じて、ぐっときて、泣きそうになった。足の線の流れ方が素晴らしくって。ちょっとね、こう、たまらない気持ちになってしまった。この線に辿り着くまでどれほどクロッキーを取り続けたのだろう。流れで見ると、作品の描線にも如実に表れていることに気付かされる。プロとしてやっている人でもこうやって自身の高みへ高みへと向かっていくのだなあ。人としての気高さや品性がそこにあった。そしてやっぱりタマちゃんが! 掲載紙などの資料は「80‐90年代の日本の若者文化」としてもとても価値がある。
こういう、誰かが掘り起こさないと埋もれてしまいそうなものって必ずあって、でもでも当時から受け取ってきた私達の心には残っていて、今に繋がっているのだと再認識しました。

森本美由紀さんの公式ブログに掲載された、内覧会での山田五郎さんの講演内容がさすがな目線で良かったです。
http://info-morimoto.seesaa.net/article/422468004.html

この後は湯島へ出て岩崎邸と建築記念館行って、中野坂上に出て暗渠歩いて、東高円寺でライブを見たのでした。

*1:今やオサレアイテムなnew balanceのグレーのスニーカーにチノパンの組み合わせも、シスターではしつこいくらいに提唱してて、だから逆に私はnew balanceは履くものかと思っていたのであった……。というように定番を大切にするmcシスター編集部の目利きは優れていたと思うのだよねえ。oliveばっかり話に挙がるのがなんかねえ。