ONEMAN 2015 - ruinenwert - live at club que

終演はなんと22時20分、3時間超!!!のライブは濃密で分厚かった。新曲はスリリングな展開を聴かせ、初期曲は嬉しい驚きとともに最新型の強さを携えて、朽ちることなく今ここに在りつづける凄みがありました。
来年はもっといろんな場所で様々な立場のたくさんの人が聴く機会がつくられることを、切に願います。


さて、満員のque。普段はなかなかライブを見に行けないけれど年末のワンマンは!という方も多いと思います。だからいつもより、ひとりひとりが静かなる期待に満ちていて、じわり嬉しい。
ゲストの青木ケイタさんがフルートで入った「you are」が素敵だった。「neue welt」の中で特に好きなこの曲をまさかライブで演るなんて、しかもこういうかたちで!すーごく嬉しかった。それからテナーサックスで「harlem nocturne」!そうそう、これがあったヨ!
ケイタさんと数曲演ったとこで中座、なんと10分休憩。時計を見たら開始から1時間半ほど過ぎていた。普通はこれで終了の時間だけどあっという間だし、まだまだ聴き足りない見足りない!

さて後半からが細海魚さんのキーボードが入って怒涛の展開!まさかまさかの「トランスオレンジ特急」と「fall in holy」!!!共にライブで聴くのいつぶりだろう?「トランスオレンジ」には初期の頃の雰囲気がブワッと浮かび上がり、「fall」は「dipの10曲」で必ず選ぶであろうほどに好きなので、鳥肌……。嬉しかったのはあの頃の遠い記憶のような繊細な旋回ではなく、しかと唄い鳴っていたことだった。


ここでMC。ライブタイトルの”ruinenwert”の意味は『廃墟価値』で、建築家アルベルト・シュペーアが唱えた理論。楽曲が価値を持ち、残っていって欲しいという気持ちから付けたそう。dipのライブで建築用語を耳にするとは!*1。このMCから「corbusier」に繋がったのが、私にとってのハイライト。この曲の後半の展開がすごく好きだ。

それからコレが聴きたかった!の「bend your head」→「she cracked」の流れにシビレ、更に「at there i will cry」!キャー!「デデツク・デデツク・デデツクデデデデ」と暗殺者の夜な印象的なベース・ライン口づさんでたら、途中でTalking Headsの「Road To Nowhere」が入ってきた時はハッとしてニンマリしました。楽しいー!

本編ラストは「lust for life」、アンコールは”dip the flagを組んで初めて作った曲”といって「sludge」で終了。まだまだあの曲も聴きたいなとオールナイトで演って欲しい気持ちでいっぱいで、小雨混じりのなか暫く歩いてから帰ったのだった。翌日はふくらはぎが、ふくらはぎが・・・。ううう。


楽しかった!凄かった!とはいえ、正直なトコロを敢えて記すと、音が良くなかったのだなあ。私のいた場所が悪かったのだと思うけれど、それぞれの音の輪郭が曖昧で、、、。空間に隙間が無くゴワゴワしてて、ゲスト参加も含めて各パートのフレーズが「フッ」と入って気持ちが昂ぶる感覚が弱かった。。。後半持ち直したかなと思ったけど、深み広がる演奏に至らないまま最後の「sludge」でバランスが悪かったのが残念でした。


今年はヤマソロなどニュースも多かった一年でしたが、来年はヤマジさんも遂に50歳!!!ということで何か企画があるのかな?今年の新展開がどう変化していくか、楽しみです。声を大にして「dipが好きです!」と叫んで2015年「も」過ぎていくのでありました。

*1:後でネットで調べたところ『廃墟価値』とは『全ての建築物は廃墟となった時に美しくあるべきだ』という理論なので、転じて「それぞれの心のなかに残り世代を超えて聴かれるように」という願いになるのかな。この『廃墟価値』、捉え方が難しい。産業遺産など廃墟を積極的に見に行く私なのでdipとこう繋がるとは!と嬉しい驚きもありつつ、廃墟=後世ではなく、あくまでも「今いろんな人に聴いてもらい反応を受けたうえで」が前提であって欲しい。シュペーアにまつわるアレコレ含めて一歩間違うと危うい観念だから判断がまだ付かないので、今後学んで行きたいな