▶︎LABO 11 oneman◀︎

11月27日土曜日 下北沢CLUBQue。今年最初で最後のdip、ワンマン。まだ年の瀬感が迫ってないので感慨深さも薄いこともあるのかどうか、今日はとにもかくもアンコールだった。


最初のギターノイズにやられた。全身の毛が逆立って、体が止まったまま呆然と立ち尽くし、ただただ音を浴びた。ラリーズのカバーだと思った。ラリーズはがっつり聴いてわかっているわけでは無いのに、そう思った。歌がはじまると確認した。セットリストによると「造花の原野」とのこと。しかし音源越しで脳内に残る酷く荒んだ暴力的なノイズまみれではなく、荒々しくも制御/構築された美しいノイズだった。こういうのが聴きたかったのよ!と痺れた。そのまま受け継いでナガタさんのベースがドドドッとやってきて「break on through」、このカバー早く音源化してほしい。今日はギターの刃の重さは感じず、ボーカルのシャウトが誤魔化しではなく演奏と共に安定感があった。
客電点いても止まらないアンコールの拍手、もう1度登場。「ヴェルヴェッツにおけるsweet jane的な存在の曲?」とヤマジさんがナガタさんのほうを向いて言ってからの「sludge」。若かりし日の焦燥感を蓄えたまま深まり続ける演奏はやっぱりすごい。



さてアンコールから語ったというのも、本編はそこに至る長い導火線な印象だった。


定刻 17:45スタート、「it's late〜it's too late」で始まる演奏を聴きながらヨシノさん在籍時はラスト手前の鉄板だったなあと思いだし、でもあの頃とは違う音作りだからこそ初っ端に演奏する意義を感じた。続いての「hasty」「garden」も音の織り方が少し変わりつつさら〜と流れてしまい、むむスイッチが入らないなあと思っていたところに次曲のイントロ。あら、新曲かしら?と歌いはじめたところで驚いた。「no man break」だったから!えーーー!後半の展開は、ヒリヒリ切ない季節は過ぎてゆっくり柔らかく編み直した印象。新たな断片を作った時にno man breakにリメイクしようと思いついたのか、新曲に歌詞を付ける段階での模索的なものなのか? 人気の高い歌ものだけにこのアレンジは興味深い。「シン・ノーマンブレイク」(シン〜て言いたいだけ)はどう変貌していくのだろうか。


「粘膜の宇宙」「hollowgallow」と好きな曲が続いたものの、グッと入り込む訴求力が弱くスタジオでの演奏を見ている気持ちが拭えなかった。彼らのパーソナリティゆえもあるけど観客に伝える感が薄いこの感じ、ああLABOに私たちはいるってことかなと、久しぶりの「13階段への荒野」を聴きながら、今彼らはどんな荒野を進んでいるのだろうかと思い、最後のギターはやけにsoonぽい音で心躍った。


キッカリ1時間演奏して休憩、第2部は出だしからして音の感覚が変わった!(そして1部では長髪にキャスケットのナカニシさんが、帽子を脱いで髪をオールバックにして後ろでひとまとめというヘアスタイルの変化を魅せて驚いた!)

音作りが現在進行形のフォーマットになった印象で「eva」と「perverse」「traffic」(新曲)の間に「slower(flower not needed)」「nowhere to go」を挟んだのちの、「studio」は印象的。「3人でstudioで合わせた曲聴かせてやってもイイんだぜ」って歌詞の若さゆえのアガきも今聴くと妙に沁みる。「イイんだぜ」ってウネるトコにグッと来るよねえ。当時はめちゃくちゃ違和感あった曲だけど笑、あの頃も今も変わらない彼らの生活を感じさせつつもささくれてはいなくて、遠い過去を優しくなだめるような響きを残したのだった。
ササセッズめでロッキンな「9souls」に続いて「she cracked」・・・・・!!!ぎゃー!!う!れ!し!い! ようやく熱が上がったところでささーっと本編終了、ええええええ、不完全燃焼。。。というよりも、この瞬間で燃え尽きるのではなく、まだまだ続いていくんだぜといったところだろうか。全体的にはギターを全面に出し過ぎず、歪んでいるのに整っていて、若い頃には出来ない音だった。



dipでまだまだやれるしやりたい事が沢山あると感じられたライブだったので良かった。この快楽と高揚感は他では得られないんだろうなと思った。」 という、ライブ後TWでのヤマジさんの言葉がすべてなんだろう。新曲の方が断然カッコイイし、旧曲も今の視点で更新されていく。終わらない、永遠に回転し続ける。


来年はライブでいろんなところを回ったりレコーディングをしたいとのこと。活動の場が広がるヤマジさんだけど、いっときでもdipに集中して3人の音を深めて広げてほしいな。ファンサービスもいらないし、時代に合わせなくてもいいけど、地下の工房ではなく門扉を開いて、年齢や性別、住む街に限らず気軽に見れるようにして欲しいと切に願っているのです。レジェンドの人たちとだけではなく、若いけど音楽性合いそうなバンドも増えてきたはずだし、積極的に対バンして化学反応見たいなあ。ファンとしてもこれくらいじゃ簡単にカッコイイって盛り上がらないんだからッと!・・・と図々しくて一方的でイキがった声を虚空へ残す気持ちをお許しください。。。