ヤマソロ live at days

11月の終わり。吉祥寺の井の頭公園沿いのライブ・バーで。この道は数え切れないほど通ってるのに、ここのこと全く気づいていなかった。更に驚いたのは、ステージがなんと、入口横!通りに面した全面ガラス窓を背に演奏するのだ。ゆえにヤマジさんの後ろには行き交う人々や車があって、演奏を聴きながらぼんやり信号の点滅や小田急バスの赤い色が通り過ぎるのを眺めていた。時に走行音が効果音になり、Sunday Paffceでなんとも不思議な空間を生み出していた。
今日のハイライトはやはり、アンコール。モモさんの「ロックンロールハート イズ ネバーダイ」カバー!
以前の「ヤマモモ」ライブで、「ネバーダイ」と唄うモモさんに対しての『返答』のように、「生きろ」と「強く送り出す」ギターを聴かせてくれたヤマジさんがどう唄うのか、胸をぎゅっと掴みながら聴いた。ヤマジさんの唄声は甘くも湿っぽさもなくて、乾いて切ない余韻があって、好きだなあ。そしてギターソロには今までにない落ち着きを感じさせて、ああ今のヤマジさんは良い空気を吸って歩いているんだなあと思えた。ちょっと照れも入って、深いところに落ち切らないようにしてた気もする。そこに会場にいたモモさんが入ってきて(実は中盤でIggy Pop「the passenger」で客席から突如登場もあり)唄い始め、「ヤマジカズヒデ イズ ネバーダイ!」と叫んだので、ウワッと胸に突き刺さったのだった。「ヤマジさん、死なないでー!」こんな言葉、ほんとにその際にいる人に言える訳はないし、笑って言えるような、そういう時代が訪れたんだなーと涙しそうになる。死のイメージに焦がれてる眼差しを常に湛えてた人。これまで何らかの理由でふっと消えてしまいそうだったから、不安だったのは事実で。でも今、目の前には、モモさんの言葉に返答するように、グワッとスイッチ入ってギターを弾き倒すヤマジさんがいた。ずっとギターを弾きながら生き続けるって強さがそこにあった。全身ギタリスト ヤマジカズヒデ!この曲が最後でよかった。「after the goldrush〜helpless」は古き良き感傷になってしまいそうだから。(セットリスト見ると、ラストでやる予定にはなってたの?)
それと「天使〜セル」は泣かす気か!って流れで、ヤマジさんの後ろの窓の向こう、信号の赤やバスの流れをぼんやり眺めながら高円寺の外れに住んでた頃を思い出した。もう遠い過去の記憶として。

終演。音を止めたヤマジさんはそのまま入口から外へ出てしまい、「あー!」と思わせると、窓のところでこちらを見て、恐らく後方に陣取る友人たちに向けてだろう、笑いながら両手を振って応えるという仕草をして、とても良い表情をしていたから嬉しくなった*1

*1:余談:前半のはっぴいえんど「12月の雨の日」、Matching Mole「O Caroline」といった選曲にもグッと来たけど、サラッと感じたのは普遍的な響きを持ったからなのかな。そうそう、「12月の雨の日」が「マルセリーノ〜木枯らしに抱かれて」に変化するようなところがあってドキドキした。それと、このところの”シューゲイザーフォーク”と称する音作りには「"私にとって"グッとくる気持ちの良い音、ってなんだろう」と考えさせられている。