LABO 15 dip oneman


深く沈むのではなくグングン先へ先へと進む感覚。初期曲や久々の曲多めでも"過去の再現"でも"レイドバック"でもない印象は、来年アルバム制作予定と知ると納得出来る。
1週間後のマヒルのヒナタを歩いていたら、年輪を重ねた太い幹の樹からハラハラと葉が落ちてきた。黄橙茶と緑が混在する葉が減ってスッキリとした枝は、空へと高く伸びて突き刺さる。音が見えた。冷えた空気に在る音を、私は知っている。今のdipはまさにそんな音だった。


冒頭に書いておくと、今回のライブを語る資格はないだろう。今いちズドン、と心に落ちてこなかった。それはきっと久しぶりのギュウギュウな場内に圧倒されてしまったからだ。
開場前のBGMはTKDさんのDJ、the horrorsthe cureなどなどダークでソリッドでキラキラしてる楽曲を散りばめたさすがな選曲に浮かれていたら、周囲は人ギッシリでここまでのは久しぶり。久々に来た人も多い気がする。ドリンクに並ぶ長蛇の列、ザワザワした場内。これが本来のライブ会場なんだろうけど、ひ弱な私にはちょっとつらくなった。なので演奏を存分に吸収できなかったと思う。体感的には前回のhighのほうが音も良く、ピリッとしつつ内は高揚している感覚があってグッと来た。今日はフロアの空気が浮かれて感じたし、ステージ上はそれとは異なる温度で「今この瞬間」ではなく「この先に鳴らす」音を演奏していたように受け取れた。2022最後だとか満員の客に向けてだとかフルスロットルさは無く、未来の地に先に向かって演奏しているようだった。ギターや咆哮で空間を埋め尽くす偏執さを後退させ、1人で気負うのではなく「3人」のバンドサウンドを再考している印象で、まだズバッと正解は出ていなく、説得力や訴求力が弱かった。それは余計な力を抜いた成熟なのかもしれないし3人のパーソナリティゆえかもしれないけれど、まだまだdipには鳴らすべき音がある。もっと圧倒的な無我の果ての音を聴きたい。


01.it's late 02.neurotic mole 03.garden
04.fall in holy "2022年の" と敢えて付けたい。記憶のなかのこの曲は自分を中心にした大きな輪に包まれていたけれど、今日は誰もいない雪の風景を見ている私がいた。ナガタさんのベースは振り子時計のように記憶を呼び起こしながら、足元の霜柱を優しく踏んだ。
05.water colour リズムがちょっと変化した。これもベースラインが効いていて、ちょっと懐かしさがある雰囲気に80年代を感じたけれど、そうかこの曲は80年代の終わりに作られたのだな。今の空気を吸ってブラッシュアップしてかっこいい。
06.turnin’ loose (E.D.P.S.) 前回興奮したこの曲!ちょっと小慣れた感じで、グイングイン来る感覚は弱かったかな。もっと強気で来い!なんて思ったりもしちゃう。
07.hollowgallow 08.eva
09.plantation 久しぶり!記憶よりも速い回転!つんのめる感覚がすごく好き!ナガタさんのコーラスも良い〜〜。
10.seed 11.perverse 12.traffic
13.稀有 うーわー!!最近やったときに声が高音出てなかったからか、音域を下げていた。それはそれでよかったけど2番では元に戻してた。それもまたすごい。
14.nerve A-10 ノンストップでこの曲の流れ、最高。
15. break on through ラスト鉄板なお約束化してきた印象で爆発力が弱まった。スルッと退場。
en1. 9souls あっさりめ。
en2. superlovers in the sun 今日の感じだと、ノーマンブレークのほうが気分だったな。ナガタさんのコーラスが効いてるやつ。


今年のdipはこれで終了かーと思うとちょっと悲しい。とはいえ単年度で区切るのもおかしいし、これからも楽しみにしてますっ。