ウェイトレス〜おいしい人生のつくりかた

公開時からずっと気になっていたこの映画をようやく見ました。目黒シネマにて。
名物がアメリカン・パイのアメリカの片田舎のダイナー。そこで働く3人のウェイトレスのテンポ良い会話から一気に引き込まれ、重くなりがちな内容がチクチクと胸を刺す痛みを残しながらもカラッと明るく描かれていて、よかったなあ。いかにもアメリカ郊外映画だった。邦題については今更ここで書く気も失せるネ・・・。
マイ・ブルーベリー・ナイツ」でもパイがキーポイントだったけどアレ食べる気にはならなかった。でも「世界が戦いを止めてしまう」味のジェンナのパイは食べてみたい。ふと、「ママタルト」のアップルパイが食べたくなった。「夢のようにおいしい」といつぞや思ったものだけど、もう何年足を運んでいないだろうか。


ベタだったりツッコミしたくなるところも愛せるのは登場人物それぞれの描き方や絡み合わせ具合に、脚本も担当している監督が実際に歩んだ日々が刻まれているからだろうな。会話の味わいがまたよくて。音楽も意識してセレクトされてて、時にユーモアたっぷりに時にじんわりとさせてくれました。


見ながらやっぱりハル・ハートリーのことを思い出さずにはいられなかった。既に見たひとはそう思うだろう。「トラスト・ミー」に出演してたあのオンナノコ、スタジャン着てたあの子がこの映画の監督であり、黒ブチメガネのウェイトレス役もこなしていたエイドリアン・シェリーだから。最初に「気になってた」と書いたのはその為で、公開時に知り驚きつつもシャンテに行くのは気が引けて名画座に回ってくるのを待っていた、というワケなのだ。
そんな彼女の監督としても女優としても、次回作を見ることはできない。それがとても哀しい。
90年代前半にハル・ハートリーの作品を見たことってひきづるなあって改めて思う。その作品に出ていた若い彼女が影響されることもむべなるかな。


目黒シネマは以前から手書きチラシを見かけたり気になっていた劇場だけど見たい映画がかかるときのタイミングがなかなか合わず、目黒にわざわざ行くのもナアと見送ってばかりだったけどようやく初来訪。・・・今まで来てなくてごめんなさい!と土下座します。やっぱり映画愛に満ち溢れた素敵空間でした。ロビーで映画書籍を貸し出ししてたり。。。アリガトウと心いっぱいに外へ出る階段を上ると途中に「トラスト・ミー」のポスターが貼ってあって、泣けた・・・。

映画館といって今気になるのは、シネマアートン下北沢。親会社がそのようなトコロだとは近い将来のこの土地の利権も絡んでたのかしら・・・と思えてしまうけれど、ぽっかり穴があいた気分。。。かかる予定だった作品も含めて今後どうなってしまうのだろう。
ツタヤシネマとかカドカワシネマとか、親に左右されるというのはニントモカントモ。