- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2001/01/25
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90年代後半の渋谷が舞台。10年ちょっと前なのに、古臭さがミョーにある。ああ、渋谷の駅前の三和銀行はもう無いし、シスコももう無いし、109-2の外壁にかかる広告はCKの香水だった。オンナノコ*1はヒステリックグラマーのピタピタTシャツを着ているし、眉毛は細いし、ケイタイはアンテナ伸ばして使うし、チープな着信音が鳴る。変わるものだなあ。
渋谷系でオシャレな(あわわ)存在だったこの町のニオイが変わってしまったあの頃を充分に切り取りつつ、渋谷は坂の町だ、ということを見せてくれた映画だなあと、久しぶりに見て思った。
ジュニアの目つきにぞっとする。希薄な存在感がすごすぎる。ゾワーとする怖さとともに、散りばめられた可笑しみがあって、泣けてくる。
正直言ってこういう「ニッポンのオットコ臭い」のは好きではないし、演出も編集も演技も上手いとはいえないけれど、どうしてだか気になって仕方がないのだ。
豊田監督の映画にはそういう不思議な魅力があって、これは監督自身の”ひととなり”によるものではないかなあ。「蘇りの血」のチラシには大きいサイズのものがあって、見開きでコメントが寄せられていた。前作「空中庭園」では公開直前に事件を起こし、スタッフの怒りを生んだとは思うけれど、彼らは監督を待っていて、「おかえり」って迎え入れている言葉の数々に、愛されているのだなあと思った。これにはヤマジさんの言葉も記されていて、これもまた、ヤマジさんらしい言葉なのだった。(公式サイト(←リンク)で読むことができます。)
「ポルノスター」のサントラは出ていないし、「13階段の荒野」が入っているミニアルバム「13 towers」は廃盤なのが惜しいほどにカッコイイ。(同時リリースの「13 flowers」と込みでね!)ただ、「13階段の荒野」はdip入門編には向かない楽曲のように思う。しかしこの曲に込められた行き場の無い、やり切れない、どうしようもない思いは今も聴く度にじりじりと胸に迫ってくる。
コメントといえばdipのライブアルバム「pharmacy」が出たときの豊田監督のコメント(←リンク)もすごく良いのだなあ。ほんとにね、ぐっとくるよ…。
「青い春」もスクリーンで見たかったけれど、結局行かなかった。例のTMGEの映画と合わせてまた見たいなあ。