一人旅

会社で隣の席のひと(30代半ばの男性)は、まだまとまって夏休みを取っていなかった。未婚で彼女いないといつも言ってるようなヒトなので、何気なく「どこか一人旅でも行かないんですか〜?」と聞いてみたら、
「しないよ、一人旅なんて。寂しいじゃん」って返されて、
ええええええええええ?!
ちょっちょっちょっ、「寂しい」って?
もちろん個人的事情などによって「一人旅をしたことがない、キッカケがない」ということはわかる。でも、「寂しいから」か…。
その場は適当に流したものの、瞬時に受け入れがたかった。モヤモヤしてた。ちなみにその人は一人暮らしをしたことが無いというので、だからなのかなあと思ったりもした。

しかし聞くところによると「自分の回りでもそういう人は多い」「一人旅する人はやっぱり少数派」とかいうじゃあないですか!そ、そうなの?
私の友人知人、そしてY氏もその回りの人たちも、一人旅は当たり前で、何回もしてきたような人が多いのだけども…。うむ。似たもの同志が集まるとはいえ、うむ。

「誰か」といく旅の楽しさもある。でも一人で決め、一人で歩き、一人で過ごす旅の楽しさだって、自分だけの、何にも代えがたいものじゃあないかしら。
誰もいない車も走っていない静かな山の中の国道を歩いたり、無人駅で当分先の列車を待ったり、ぼーっと車窓を眺めたり、どっちの道を行こうかなとか、ぎゃー道間違えたとか、無いー!とかアレコレ起こる出来事にドキドキハラハラ、そしてご飯食べた店の人と話したり。
見知らぬ土地でひとりで見るもの出会うもの聴こえる音は、自分の奥底に深く刻まれて、ふいに立ち上がってきます。

とちょうどそんなときhobbitonさんの「沈黙」を読んで、ふう…と息を吐いたのです。