植田正治写真美術館へ〜プラスα

松江旅4日目、最終日。
松江に来たらちょっと離れるけど行きたいところがあった。植田正治写真美術館。
ここはアクセスが非常にワルい。最寄り駅となる岸本駅はJR伯備線で本数が少ないうえ、駅からも3キロくらいはあり路線バスもなく、車ない旅人を悩ませるところであります。
そんなわけで以下、私が取ったルートを記していこうと思います。

行き帰りをどうするか

HPを見ると、土日は米子駅から「大山*1るーぷバス」というのが走っていて美術館前で止まるようなのでまずはこれを利用することに。ただ、大山に点在する観光スポットを巡回するもので、1日3便と本数が非常に少ない…。
うーむ。鑑賞する時間を考えても、米子へ帰れる次の乗車時刻まで時間のロスは免れないなあ。。。
今日は旅の最終日だけによけい気になるトコロなのだ。
岸本駅まで歩いて戻るか。まあ駅まで3キロなら2〜30分もあれば歩けるし(むしろ歩きたい*2)、幸い今日はスッキリ晴れて青空、暑いけど気持ちの良い環境だしなんとかなるだろう。

いざ!

まずは松江を8:37発の山陰線に乗って米子下車9:07、ここで大山るーぷバスの停留所へ。この案内表示がわかりやすく出ていなくてウロウロしました*3
暫く待ってバスが来る、出発時刻は9:35。計5人しか乗車せず。
国道を通り田園風景がどんどん広がってきて

おおーアレだーーーー!
田んぼのなかに突如として表れるコンクリートの塊。よく、建設できた、ね…。設計は高松伸、松江界隈でも彼の設計した建物をいくつか見たけれど島根出身なのですね。
無事到着。向かい側には大山がクッキリ。

ここで降りたのは我らのほかにあと一人。館内はほかにいませんでした。落ち着いて見ることが出来、タイミングよく入れ替わりで団体さんがやってきました。

館内へ

1階は年代順に並べられていて、思ったよりもボリュームが少なかったです。でもこれまで書籍で下を向いて見ていたのものをプリントでしっかりと正面から見据えて眺めることの出来る喜びといったら。
植田正治の写真を見る。瞬間的にピッと何かが走るんだけどそれを自覚出来なくて、向かい合いながらじわじわとこころに到達し広がって行くこの感覚をなんと言葉にしたらいいのだろう。一枚一枚それを繰り返しながらこころの内側に薄い膜が静かに静かに積み重なって行くのだ。

2階は「旅する写真―ヨーロッパ、アメリカ、中国にて―」と題した企画展が行なわれていました。
この一連はほぼカラーで、初めて見るものばかりでした。旅の途中で植田正治の「旅する写真」を見るというのも不思議な気分でした。3つの部屋に分かれているのだけど、クッと世界に入り込める展示構成がよかったです。そこにただの「ハコもの」じゃない気持ちを感じました。
各国の光/色の違いを感じながら、「若いときから"旅"は嫌いだった」という植田正治が新たな世界で視界を獲得している喜びが伝わってきて、「植田正治」という人を私が旅しているような気持ちになったのです。

誰もが撮るであろうショット。

これも美しい眺め。
田んぼの真ん中に要塞のように佇む姿は異質ではあります。けれど館内の様々な「窓」から大山を眺めるとこれも「作品」のひとつであり、広い世界を切り取る喜びに改めて気づかせてくれる建物でありました。
そうそう、「カメラオブスキュラ」!"世界最大規模"のレンズで映し出された大山、わああって眺めてたそこにすうっと車が走ったときに鳥肌が…!

ここで再び大山るーぷバス!

さて、これからどうしようか?
最初岸本駅まで歩こうかと思っていたけど、ループバスのパンフを見るとさっき乗ったのは「左回りの青いバス」で、もうひとつ「右回りの赤いバス」がありました。
(参照→「大山ループバス」を見ると位置関係がおわかりいただけマス)
ここから一番近いバス停"大山ガーデンプレイス"まで車で5分、岸本駅までの距離とそう変わらなそうだから歩けば30分か。うむ、そこまで行けば赤いバスに乗って、大山をぐるりと巡って米子駅まで戻れるかも!
只今11:15過ぎ、ちょうど11:58発がある!
よっしゃ、コレだーーーー!

というわけで、田んぼと田んぼのあいだの一本道、大山を見つめながら歩き始めたのでした。
それが今日は暑いのよ、半端なく暑いのよ、日差しが強烈なのよ、ああランコムSPF50よ、私の肌を守っておくれ!(必至)

ゆるやかに上る道は、広がる大地ののんびりーとしたなか「道が狭いからキケン!」と交通おじさん化するY氏の言いつけで一列に並びながら、くだらないことをしゃべって進むとても楽しいものでした。
予定通り30分くらいで目的地に到着。やったーーーーー!

…フランス?
そこがなんであるかよくわからずに辿り着いた大山ガーデンプレイスは、「フレンチレストランを始め、食事処、特産品販売店、地元生鮮野菜直販店、テニスコートやバーベキューハウス」がある施設でした。バスが来るまで少し時間があったし乾杯気分だったので

地ビールとアイスでカチーン!アイスはミルク感たっぷりでうまーい。

いよいよバスに乗り込んで

国立公園でもある大山山麓を巡るバス旅もまた、楽しいものでした。

アスレチックやペンション村に別荘など回る道は、島根鳥取の人たちのリゾート地なんだなあと思わせるもので緑がきもちよかった!車じゃないと味わえない!バスだからゆっくり走るのもいい。
途中、大山寺前で5分休憩。バスを降りて外の空気を吸う。きもちよいなあ。


大山は雪をわずかに冠っていて、思わず声を挙げる。
再びバスは走り出し、下っていきます。次第に風景に家が増えていき、個人商店が見え、チェーン店が見え信金が見え、街になっていく。
13:05、米子に着いた。このルート、とてもヨカッタ!
というわけで、植田正治写真美術館へ向かう旅行者のかたにはこんな楽しみかたもオススメいたします。

より大きな地図で 植田正治写真美術館周辺 を表示

*1:"だいせん"っていうの"おおやま"って読んでた…

*2:ここに我らの散歩慣れが活きる、のか?

*3:た、たぶん。改札出たとこにも特にでてなかったんじゃないかと。停留所はロータリーの一番奥で、バス停の文字表示も目立ってなくて遠くからわかりにくかった。と、単に私の注意力が足りないからならすみません