7月中旬の3連休を使って、急遽旅に出ることになり、気になっていた街である和歌山市と徳島市を旅しました。この2つの県へは訪れることも初めてです。
大阪まで新幹線で移動、特急くろしおに乗って南下。大阪の南のほうは全然知らないので駅名から風景やらにイチイチわくわく。団地が見れたことも嬉しくって、壁画や給水塔をちらと拝むことが出来ました。
和歌山市へ到着!早速和歌山電鐵貴志川線に乗り換え、「たま駅長」で一躍有名になったあの路線です!
そもそも「たま駅長」が誕生した経緯がスゴい。
1961年に運行開始となった南海電気鉄道貴志川線ですが、利用者の減少(大吉っしゃんいうところの「おのれモータリゼーションめ!」)によって2004年に南海電気鉄道が同線から撤退することを発表。これに対し和歌山県、和歌山市と貴志川町(当時)は貴志川線存続のため事業の引き継ぎ先を公募、2005年に岡山電気軌道*1が事業を引き継ぎ、運営会社として和歌山電鐵を設立。
という前置きとともにこんなお話があります。
南海電気鉄道時代の貴志駅舎の倉庫に野良猫のミーコがいました。その後生まれた子猫のたまとともに駅売店の小山商店で飼われるようになると、近所の人たちや駅の利用客にかわいがられ、「駅のアイドル」(ユイとアキ…)となったのです。
さて、この経営移管にあたり、駅の敷地が南海の社有地から町の公有地となり、駅舎周辺が整備されることから新たな話が生まれていくのです。
立ち退きを迫られて猫の居場所が無くなるため、小山商店のかたが和歌山電鐵社長に相談し「たまちゃんと目があった瞬間、ピカッとたまちゃんの駅長姿が頭にひらめいた」(ストーブさん的なひらめき…)ことから、無人駅化した貴志駅において、たま達を駅長などに任命することになった。
(以上枠内はwikiより抜粋・参照しました。)
このチョットイイ話しが多数のメディアによって話題になり、乗降客も増加。グッズ販売などもあり収入が増え、2010年には貴志駅舎を猫をモチーフにした「たま駅舎」に改築。2006年に経営譲渡された際に水戸岡鋭治によるプロデュースで車両を改装し、「いちご電車」などユニークな列車が運行されていましたが、2009年に登場したのが「たま電車」なのです。
このキャラクターが愛らしい。列車の白の躯体もなんとも愛らしい。
ちょっとこうふん・・・!
この壁紙ったら!
驚くべきは座席で、ローカル線のボックス席もロングシートもありません。全てこの列車にしかない椅子になっています。
猫足の椅子!
かわええ・・・
こんなソファーまであるの・・・!
「たま文庫」まで用意され、猫をモチーフにした小説や漫画などがありましたが、まあ内容はさほど…(ごにょごにょ)まあ、こういうところに置くのはなかなか難しいよね。。。
足跡まで。。。芸が細かい!
列車車両は「このかたち」でなければいけない、という固定概念を捨ててこの路線ならではの特色を活かしたつくりがスバラシイ。さすがの水戸岡クオリティー。
さてあっという間の終点、貴志駅ではたま駅長がお出迎え…?
今は立派なガラスケースの小屋のなかで鎮座していらっしゃいます。見に行って写真撮った私がいうのもなんですが、かわいそうな気持ちもさすがにある・・・。でもちょっとした部分にいたるまで作り込みが丁寧且つユーモアセンスに溢れていて、愛情が感じられることがよいなあと思います。
駅舎がこんなに立派に・・・!ちょっとしたカフェスペースもあり、和歌山の梅をつかった梅サイダーや苺のジェラートなどが味わえます。
ここで中国人の団体さんがゴーッと入ってきました。20〜30人はいたでしょうか、いっせいに写真を撮り始め、再び乗り込んだ折り返しの列車に同時に乗車し、車内に日本人が他にいない…よ…。早口の中国語で埋め尽くされ、、、ここ、いったい何処…。
車両基地のある伊太祈曽駅で途中下車。彼らもここで下車すると、駅舎を出て田んぼの向こうにある駐車場に止まっている観光バスに次々と乗り込み、去っていったのでありました。こういう極めて「日本の団体旅行」な観光ルートが、中国の観光客にも広まっているのだねえ。ビックリ。
さて、ここには「ニタマ駅長」がいます。
「タイクツだわ…」
いえいえ、立派な業務を遂行されていらっしゃいます。
和歌山電鐵の試みはローカル線における見事な成功例で、全国に●●駅長が続々登場することになったわけですが、単に動物の駅長(マスコット)がいるだけでは勿論だめで、トータル的にプロデュースしパッケージされ、これを持続することが重要なのだと実感しました。「あと4回きっぷ」など、仕掛けもとてもかわいらしい。
また逢いに、乗りに、行きたいな。
http://www.wakayama-dentetsu.co.jp/
*1:岡山旅での路面電車記録はコチラ → http://d.hatena.ne.jp/mikk/20100518/p1