シャルロット・ゲンズブール 初来日公演


東京国際フォーラムAにて。広いホール、始まっても誰も立たずに座ってみていた。
かなり前の方の真ん中の席だったので、シャルロットの表情もしかと見ることが出来た!中学の時oliveで初めて見たときの感覚が蘇って、涙ぐんでしまった…。
無造作なロングヘア。細い躰だけど華奢で儚げな印象は無く、「ここに確かにいる」存在感。黒のレザージャケット・白のテロッとした*1Tシャツ(タンクトップかな)にブラックジーンズ(太腿あたりに別素材の生地がパッチワークされてる)。何でもない格好だけどカッコいい。スタイルの良さもあるけど、40手前の歳だからこそ着こなせる服装だなあ。
サンプラーをいじったりパーカッションをダダッダダッと叩いたり、女優ではないミュージシャン然とした佇まい。あまりに「ベック色」が強すぎて入り込めなかった新作もライブだといいな。こういう「ロック」な楽曲を「今の彼女」がやるってことが素晴らしい。
クラウト・ロックやアフリカンなどの影響を盛り込みつつな最近のUK/USロックなテイストではあるけれど、フランス語の発音も手伝って、独特のサイケデリックな浮遊感を伴いながら、シャルロット・ゲンズブールの曲になっている。
ただ、この音楽性だと国際フォーラムという会場は合わなかった。
従来の「フレンチ」なイメージと年齢高めな客層からこのハコが決定されたと思うけれど、アルバムや実際のライブ活動を踏まえて決めないものなのだろうか?だってコーチェラとかでもやっているのに!
音的には超自分の好みなので、うおうカッコいい!とジリジリするんだけど、座ってたこともあってか、高ぶれない。演奏と観客が混じりづらく、本来なら熱を帯びただろうに、淡々とこなされていくのを受け止めるだけといった感じで、もうちょっとライブならではの部分が欲しかった。もっとも彼女が盛り上げたりするような仕草をするとは思えないので、そのへんは別にいいんだけど。
でも今回のような楽曲ならば、即興的な演奏が延々続いてもおかしくないのに、演奏することで「生み出されるもの/はみ出るもの」が無かった。
そういう演出を越えた”演技”を「女優である」シャルロットならではの感覚で表現されるのを期待してたのが、正直なところ。アルバムが「ベック」が作った箱から出ていなかっただけに、そこが残念。
客としてもやっぱりここだと「お行儀よく聴かなきゃ!」ってなっちゃうなあ。それに一度座っちゃうと立ちづらいよね…。アンコールのとき立ち上がった人いたとき、シャルロットがちょっとホッとして嬉しそうな笑顔を浮かべたように見えた。
アンコール最後の、ゲンズブールの曲”Couleur cafe”での盛り上がり、私も立ち上がってきゃいきゃい踊った。AXあたりで見たかったなあ…。バックはベックのツアーメンバーでもあったそう。ギターのオンナノコがクールな美人さんで、シャルロットと2人でユニット組んでくれないかなあと妄想。2人でギター掻き乱したりドラム叩いたりしたら、超カッコいいのに!

というわけで、ちょっと歯がゆさが残るライブだったけれど、またライブを見たい。そして映画も楽しみだし、ファッション誌でのモデル姿ももっと見たい。
音楽活動にしても本業の女優業にしても、常に挑戦している彼女はいつまでも憧れの女性だなと改めて思う。

最新作「IRM」の感想 → http://d.hatena.ne.jp/mikk/20100202/p2

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余談その1:観客メモ。ボーダーはさすがにいるけど、さほど目立たず。イン・レッドさんでもなく、森ガールに山ガール、天然生活さんもいなかった。やっぱり天然生活さんは根っこにシャルロット無いんだなと実感(←ここ重要ですよ、みなさん!)…。ちなみにこの日はもみじ市でしたケド。この会場に集ったみなさんは流行りではなく、自分にしっくりくる格好をしていらっしゃったのが印象的。と書きながら毎度のテキトウな格好してた私ですが。

余談その2:恐らくどこぞのファッション誌でありそうですが、カヒミとの対談を読みたいです。これまでのスタンスとの比較を含めて音楽制作についてやライブ活動についてや、歳を重ねることについてなど、読み応えがありそう。

*1:胸元が…というか胸のカタチが…のーぶらよね