club 251

ラストのあの曲に注目がいくのは当然だけど、選曲や演奏含めてヨカッタです。
おおっ!このあいだより音が良い!ベースラインが出てきて、ドラムがパシッと落ちてくる。
3曲目の「now gotta the sun」 、このイントロを聴いただけでぐっと来て、遠く白く消え行くよな時間をぼんやり見ている気持ち。そんな切ない空気に包まれていたら、
「お待ちかねのチューニングの時間です。」というMCに、思わず笑う。
「普段ギターを弾いている人は自分の手癖から抜け出せないという悩みがあると思うんですけど、チューニングを変えることによって新しい世界が見えてくるので、やってみるといいと思います。行き詰まっている人は特にやってみるといいと思います。」と言い、場内が笑いに満ちた。あくまでもギタリストとして観客と対峙しているところが良かった*1

「ode (to the mucus membrane)」、中盤と最後のノイズ大会、素晴らしかった!この間のSHELTERのときよりも凄みがあった。白い大きな滝*2がぐるりと囲んだ中にいるみたいだった。

「オススメのチューニングはCGDGADです。弦のテンションが下がって…オルタナ気分というか…」といって次の曲は「plantation」。いつもよりも幾分重めでテンポを落としたイントロにドキリとする。

「チューニングを下げた場合はピックアップはフロントかセンターが…効果的。例えばこんな感じ」と言って畳み掛けるように次の曲「paco」へ!ぎゃー!なんですかこの繋ぎ!こんなトーク術いつ身についたの…。こういうの、くすぐったくも嬉しい。そして、この曲の3人の音のバランス、すごくよいなあ。

「it's late」に続いて「it's too late」、前半部でこれまでにない昂ぶりがやってきて、刹那ではなくこれまでもこれからも続く肯定感に包まれる感じで、音を逃したくないってスイッチが入った。なんだろこの感覚。音に迷いがないところがそうさせるのかな。演奏が終わった瞬間、身震いした。
そして次の曲なんだろう?って思って、細かな音を奏で出したそのとき、これ、まさか…って、動揺して、ああ、このイントロは…!

「dear prudence」、ぎゃああああああああああ。

ちょっと聴いただけで目頭が熱くなった。ベースのモワッとした足取りを耳で追う。ドラムが高いところからスタッと落ちてくる*3。その間を研ぎ澄まされたギターがどこまでも広がっていく。硬質なのにしなやかで、重量がないのにズシンと来る。ステージでくるくる回るライトがドリームマシンの旋回のようで、あああ、長い長い前奏を経て、紡ぎだされるボーカルのやさしい響きについに涙が…ああう。そして再び潜る潜る。ゆっくりとまわる音。からだと音がいったいになって浮遊してる、ぐるぐると。
こうして幕を閉じた。ラストは実に20分ほどの演奏だった。


久しぶりの演奏にクラクラしたのは勿論だけど、その前の「it's too late」とかがヨカッタからこそ、だと思うのだ。
昔の曲に昔の自分を思い出してなんてのもあるのは否めないけど、それは今ここで確かな音がまっすぐと今の音で鳴っていて、それを受け止める私も今確かな日々を暮らしているからこそ、だと思うのだ。

今年はdipとしては12月28日(仕事納め…)でラストかな。ヤマソロも楽しみです。

*1:日本のバンドにありがちのカッコつけたのやフレンドリーなのとかもう、ねえ…

*2:ブエノスアイレス」のラストシーンのイグアスの滝のなかにざぶんと。

*3:ダブはまったく詳しくないんだけど、低音がクッキリブリブリ「出て」きてもいいのになーっと思った。ライブの前半よりも幾分ツブれてしまった印象があった。とはいえ、いかにもな重さがないのがdipらしい気がする