ももいろそらを

新宿駅南口からアトレを通り抜ける、若い女の子だけに焦点を絞ったショップはキラキラしていて、通るたびに「ああほんとうに変わったなあ」としみじみとしてしまう。オープニングセレモニーやボンジュールレコードは一般ウケなラインでは無いと思うけれど、「TOKYOViVi」などの「ガールズカルチャー誌」が出たことを考えると、オシャレなもの座標軸が変化したんだなあと思ってしまう。とはいえこれらの店が売れているようには見えないので1年後どうなるのかなとも思うのであるが。d&dはいつもレジに並んでて、大振りのアメリカンな甘いパンを買い求めている女の子が多い。値段も高めだしそこまで美味しいとは思えないけど、”買ってしまう”ものなのだろう。
階段を下りて左へ、新しく出来たばかりのミニシアター「シネマカリテ」はタワーレコードの隣、飲食店ばかりが入っているテナントビルの地下にあった。ここが映画館になるなんてなあ。
中はすっきり素っ気なく、とりあえず映画を上映する場所をこしらえましたといった風情。あんまり映画熱を感じない…。客も少なくて10人足らず。年配の男性が中心で驚いた。なんでこんな客層なんだろか。


「ももいろそらを」、本作が長編デビュー作とのこと。なんだか気になって見ることにした。モノクロの映像で音楽を使用しない抑えた雰囲気を壊すように主人公の女子高生が冒頭から、男勝りな口調でガンガン喋りまくり、独り言もべらべら声にして説明しているので、勢いはいいけど台詞が体から発せられていないように感じて居心地が悪かった。とはいえ女友達2人が登場すると「敢えてこういう感じなんだなあ」と思わされた。自分の居場所をなんとか作っているように感じたからだ。口調が板についていないのは演技力にも依るけれど、そんな嘘っぽいのが功を奏したのかもしれません。媚を売るあの子の感じ、とか。おとなしいあの子が抱えるあの感じ、とか。
主要の3タイプを強調したようなキャラクター造形のあの3人はとても話しが合うとは思えず、何故友達なのかと思えてならないのだけど、ひとりは結局のところ怖いし、だから喧嘩しても「ごめんねごめんね」と執拗に繰り返し、「○○ちゃんのためなら私やるよ」などと言って絆を繋いでおく、それが友達なのだなこの子達の世界では。そんな女子3人が強調されすぎて、男の子のつくりが弱かったなあ薄かったなあ。んで「好きな子のこと」が逆にちょっと失礼だと思うし、ね。
高校の一時期の、たった数日間のある出来事を通して成長するという点に対して広げた話の展開は面白いけど、葉っぱが足りないというかなんというか、ああっなにかもう一声!と煮え切らないものを感じつつ、でも悪くはない(偉そー)、若い子にもっと見てもらえると良いのになあ。


勉強も出来ないし友達付き合いも苦手で教室が苦手だった高校のころをふと思い出しつつ、映画館を出てタワーレコードへ行き、楽しいなあ楽しいなあと店内ぐるぐるしながら結構長い時間いて、4枚ほど買った。残業した分きっちり使うのだ。大人って楽しいなあ。