フラッシュバックするメモリーズ

祖父が亡くなり、昨日葬儀だった。もう随分顔を合わせていなかった。”窓”から覗いた祖父の顔は祖父とは思えなかった。姉や姪っ子は見た瞬間泣いていたけれど不思議と具体的な感情が湧かず、涙も出なかった。額装された写真の祖父は鮮やかな青いポロシャツを着て笑っていた。こういう写真が使われるのかと思った。その後祖父の家へ行くと、入って一番奥の部屋が白く覆われ、祭壇になっていた。この部屋には家具調テレビがあり、みかんがのったこたつがあったのに。お正月には座卓をつなげてみんな座って、おせちやらなにやら囲んで酔いどれた祖父が詩吟を唄っていたのに。そんな場もいつの間にかなくなってしまった。祖父といた断片がフラッシュバックしてくる。祭壇にはスナップ写真、額装のと同じ…これを使ったのか。でも引き延ばしたあっちのと違って、祖父はピースをしていた。どちらかというと厳しい表情の多かった祖父のそんなポーズ、初めて見た…。ドンッと胸を突かれてほろりと涙がこぼれた。一昨年撮られた写真だというこの姿が私のなかの祖父の最後の姿になった。