ジャージー・ボーイズ

良い声を良い唄を堪能出来てああ良い映画だった!
本作は予告も媒体もノーマークで、TLで盛んにタイトルを目にして何だろ?と思い調べたら、イーストウッド監督作と知った。彼の作品は実のところこの何年か積極的に見ないし、フォーシーズンズのような60年代ボーカルグループも意識的に聴かないので、スルーしてしまうところ、音楽映画ということもありなんだか気になって見に行った。

フォーシーズンズほどになると、アーティスト自身の”ひととなり”は切り離されてBGMとして耳馴染んでいるけれど*1 *2彼らの生きた日々がこんな風に楽曲に繋がっているのだな。イタリア移民である彼らによるアメリカン・ドリームであり、そこかしこに「the アメリカ」が感じ取れた。その辺の盛り込み方も巧くて、客席とスクリーン内がシームレスに感じられた。
音楽伝記ものは数あれど、結局のところ監督次第なのは映画として当然ではある。監督と対象との距離感も重要で、「バード」のときはもっと若かったしチャーリー・パーカーが好きすぎた故の映画で、だからこそ私も若かりし20代の頃に見て衝撃を受け、好きになった。
ブロードウェイで9年間続き、今も上演中の大ヒットミュージカルを映画化したとのこと*3。視点の変換も受け継いでいるのね。諸々それだけでハードルが上がるようなものだけど、今作のにじり寄りすぎないまなざしとさらりとした描き方は、イーストウッドの達観に依るものだろか。
淡々としたなかに新しい音楽が生まれる瞬間のスパークが感じられて、最後はそれらが全て弾けた花火のようで胸がいっぱいになった。ザッツ・エンターテインメント!アメリカってスゲー!なパワー全開、神々しい。イーストウッドが日々のなかの「スパーク」を感じながら生きてきたからこそ、こういう表現ができるのだろうな。

館内は年配の方が多く、私は隣席のビールを飲みながら鑑賞するオジサンが時折ぷはーと吐く息の臭さが非常にツラかったのですが(・・・)、終わってエスカレーターを下りながらオバサマ3人組が「よかったわねえ」とお話してたのも印象的だった。ところで渋谷ヒューマントラストで見ましたが、ここはどのスクリーンでも見づらいです。。。

*1:個人的にはむかーしバイトしてた安売りCDショップで延々聞かされてたよ・・

*2:そういやこの手の曲も店舗BGMで使用されることは減ってきたのかな、今じゃ西友でもフリーソウルレアグルーヴギターポップ等をかけていて、これはUSENに選曲を依頼しているらしい。多分アプレミディ関連のアレ。

*3:最初このタイトル、よくトンでも無い邦題に差し替えられなかったなあと思ったけど