UGX. undergroundExtra 2015

血と雫がdipとswaragaと割礼を誘ってイベントを行う。ただ4つバンドが揃ってライブをやるだけと言えばそれだけの事。それがもし、彼等との歴史に思い入れがあるならばこのイベントの重要度の説明は不要でしょう。

dip公式サイトより抜粋したこの言葉。私は「あの時代の空気」をその場で吸っていたわけではないけれど、この面々にはちょっと震えるものがありました。場内は私よりも年上且つ黒ずくめの装いのかたばかりで、dipのライブを初めて見た時のことを思い出したり。
4バンドは芯が共通していながらも「音の拡散」にそれぞれの強烈な個性があって、シビレました。80年代からやっている方々ではあるけれど、そういった過去を「きちんと」蓄えつつも消費することなく(ここ重要)熱量があって、時代性云々ではなく「自分たちの時間軸」を持ちつつ「今ここで」鳴っていて、素晴らしかった。


今年最初のdipのライブ、1曲めは新曲のインスト。最近のヤマジさんの好みがそのまんま現れた即興性の高い曲で、めちゃくちゃカッコ良かったー。こういうの大好き!ぶわーっと血が昂ってウヒョーってなる感覚、久しぶり。フェスでやったりすると盛り上がるだろうなあ。今日はこの曲だけで終わりかと思ったくらいに大満足。長尺だけに中盤でこなれていないところも正直あったけれど、回数を重ねることでグングン変貌していくのが楽しみです。「9souls」と合わせて強烈に渦巻いた熱狂の後の「hasty」辺りは、ノリがちょっと噛み合わないかなというのが個人的な感覚でした。あ、あと印象的だったのが若々しさ!なんかこうキラキラ?してて、ここまでキャリア積んだ上で今そういう空気を伝えてくれるってスゴイなーと思う。

一番手のswaragaはボーカルがちょっと苦手で申し訳ないのだけど音自体はさすがにカッコ良かった。
二番目はdipか割礼かどっちかなと思ってたら、割礼でした。ずむんとゆっくりと沈んでいく様がやっぱり大好きだー。
ラストの血と雫は音盤を家で聴くと重い印象だったけど、ライブだと抜群に映えて深みがあって、とても素敵だった。ひとつの舞台として完成度が高く、惚れぼれと吸い込まれたひとときだった。アンコールではヤマジさん登場で1曲、更に宍戸さん登場でもう1曲。長い時間をかけて研ぎ澄まされた結晶が舞台上にあった。ずっとずっと密やかに暗闇の中で輝いてきた結晶。
そういう音を堪能できた、素晴らしいイベントでした。4バンドの演奏の合間に流れる楽曲も彼らの音を繋ぐものが選ばれていて、よかったなあ。