「大友良英 音楽と美術のあいだ」

ICCでの大友さんの展示、結局1回しか見に行けなかったけれど何度でも体感したかったなあ。近くだった勤務地が移動しちゃったのが残念でならない・・・。
展示室の中央に大きな白い立方体が置かれ、それ自体がスクリーンになっていて大友さんを始めとするミュージシャンが演奏する影が投影されているのです。即興演奏とのことですがモチーフはカヒミの「NUNKI」収録曲の模様。音が凄く良いの!笙の響きも心地よくて。音と演奏者の影が同期してて白と黒のバランスも美しく、ぼーっと眺めているだけでからだが溶けていくよう。周囲にスツールかなんかがあるとヨカッタよね・・・(贅沢)

別のコーナーでは、今回のタイトルに合わせて『音楽と美術のそれぞれの領域で活動する人々のコメントやテキスト』が紹介されています。そもそもこのタイトルは畠中さんによると、

ICC学芸員で(つまり私の仕事上の先輩であり,また大学の先輩でもあったわけですが),2009年から2013年いっぱいまで大阪で梅香堂というギャラリーを営んでいた後々田寿徳さんによる「美術(展示)と音楽(公演)のあいだ」(芸術批評誌『REAR』 29号に掲載)というテキストに由来しています. それは,梅田哲也さんとSachiko Mさんの展示を通じて,大友さんらと話されたことがきっかけとなって書かれたテキストでした.つねづね感じていた音楽と美術における制度的齟齬をあらためて考えることにもなったという大友さんとSachiko Mさんは,後々田さんのそのテキストをとても気に入られていた
引用: http://www.ntticc.or.jp/TOPICCS/2014/11/2014_1121_otomo.html

とのこと。
展示の設問として、『あなたにとって「音楽と美術のあいだ」とは』が挙げられており、各人の立ち位置や姿勢が見事に表されていて、非常に読み応えがありました。敢えて「音楽」と「美術」を分け、その「あいだ」とはなんぞや?と違和感を露わにされている方も多く、中でも伊東篤宏さんのコメントに感銘を受け、百回くらい頷いてしまった。会期も終了したので引用させていただくに、

外部から受ける既存の制度に対する思い込みや思考停止状態、ジャンルの持つある種の暴力性に対してあまりにも無自覚な対応が、非常に面倒くさく感じられることが多々あります。

ホンット、コレに尽きる。その無自覚さ、面倒くささは昨今更にヒドくなっているのではなかろうか。