間奏曲はパリで / 恵比寿ガーデンシネマ復活!

恵比寿ガーデンシネマが閉館したのは2011年1月だった。
http://d.hatena.ne.jp/mikk/20110119/p1
振り返るとこの「4年」の重みにギョッとする。



こうやって新装された扉と向き合うと不思議な気分。恵比寿ガーデンシネマ復活の上映第一作&イザベル・ユペール主演ということだけの情報で見に行ったのだけど、フランスという国の懐の深さをしみじみと感じた作品だった。

いきなりイザベル・ユペールがマダムな服装で牛にブラシを掛けるシーンで始まり驚く。いわゆる倦怠期の夫婦という設定はよくあるけれど、畜産業を営んでるってことから話の展開や落とし所に至るまで、いい意味で驚かされた。イザベル・ユペールのファッションも素敵だし、「こういう題材」を「ああいう話」にして「軽やかなコメディ」に仕立てるセンスがフランスならだよねえ。

それと、音楽の使い方がうまいなあと思ってたら、エンドロールのクレジットで「音楽:ティム・ゲインとショーン・オヘイガン」(StereolabとHigh Llamasの、デスよ!)と知って、声上げそうになった!この切り口で全然伝えられてないことがもう、ねえ。そういう時代なんだねえ。。。若者が盛り上がってるハウスパーティでのダンス音楽だとか、イザベル・ユペールがスーパーでかかっている曲にピンと来るところとか、選曲も含めてとても自然だし、暮らしに音楽があることが無理なく伝わってくるのだな。比べるのは野暮だけど、邦画ってこういうところが弱いなあとこういうときに思っちゃう。

パリの風景はまさに「観光映画」で美しく、そしたら撮影がアニエス・ゴダールなのにも驚いた。後半の優美なアクロバットシーン(と敢えて記す)、行ったり来たりのゆっくりな軌道に泣きそうになった。
作中に幾パターンか挟み込まれる「反復」、原題は「La Ritournelle」。ルーティンとか反復という意味合いらしく、設定の大前提としても、小道具や回収具合としても、さりげなく見事でナルホド合点。

ミニシアターが減少するとこういうさりげなくも巧い作品に出逢えなくなるってことだ。モギリしてくださった女性の声と手つきから、映画と観客に向き合うていねいさが伝わってきて嬉しかったナア。恵比寿ガーデンシネマ復活バンザイ。

シックでモダンなインテリア。

川勝さんが手掛けたりの素敵なパンフがガラスケースの中に。

といいながらも久しぶりに来て思ったけど、隣接する三越と絡めてもうチョット、今としての楽しい空間が演出されていると良いな。やっぱり時間が止まってる感濃厚だった・・・。