EXTRUDERS , dip with 仙石彬人 / 新代田FEVER

1stアルバムはその年のベストにした*1extrudersがdipを誘ったライブをするなんて!仙石彬人さんのTIME PAINTINGをバックに繰り広げられる饗宴は、ヴェルヴェッツのファクトリーでのライブはこんな感じだったのかなって一夜だった。そしてdipには実験と冒険をどんどんして欲しいと強烈に思わされた。


まずはdip、最早お馴染み?の新曲から。速攻盛り上がる!反復反復疾走、3人が奏でる音に飛ばされてく。カッコイイなあと思いつつ、低音がモコモコしているのが気になってしまう。そのままシームレスに9soulsへ。これはもう鉄板で、場内から声が上がる。ウヒョー。雪崩れ込むneurotic mole、このあたりから仙石さんのペイントが炸裂し始める。それからodeは分厚く転がる*2。hastyで会場全体がググっと無邪気なテンションが上がってロックンローール!ってなったのにはビックリした。
その上昇しっぱなしのアカくてアツい熱を一気に冷ますunderwaterの青い水。随分と久々で、今の体制になってから初だろうか?深海の底をウネるとろんと艶やかなイメージは無かった。太くてドッカリと進む逞しい音。あの頃の柔らかな揺らぎはヨシノさんの持ち味なのだろう。今奏でる音には海底は見えず、何処か末恐ろしさを感じた。そして中盤のギターソロが凄まじかった。これまでの全てが刷新され、見えない底から立ち上がる厚みに震えた。音なのに視えるし重いのに重くない、という矛盾する質量を蓄えて研ぎ澄まされた美しい増幅が私の中に届くと湧き上がる感覚、これはいったいなんなんだろ・・・。続いてharlem nocturne、触感が記憶とは異なり、音はねっとりとしているのに乾いていて、ナントモ不思議だったなあ。イメージとしての妖しさを醸すのではなく、曲の構造を炙り出す演奏だった。そして仙石さんが作り出す細胞分裂で抽象的なペイントは具体的な情報を与えていないのに、音像と絡み合って脳内に喚起される映像があった。アラバキでのmazriによる幾何学な映像も映えてたけど、仙石さんとも視覚の刺激が音像と喧嘩せず、お互いが呼応していた。この2曲がライブの頂点だったのか、最後のit's lateとlust for lifeは凄みに欠けたかな。。。全体通して音に埋没出来なかったことに対しては許容量の無さを自覚する。


次にextruders。同じく3ピースの彼らの蒼き硬質な線は緊張感を強いるように伴っていて、かつてのdipを思い起こした。頑なで、水溶性なのに水を弾くみたいな。それでいて仙石さんの透明に混じりあう色彩に溶けている。そういえば昔はdipの音を銅版画のように感じていた時期があったけれど、今のdipは彫刻に近いかもしれない。
前にライブを見た時は堅くて入っていけなかったんだけど、今回は音の隙間にキューっと吸い込まれた。声・ベース・ギター・ドラムそれぞれの音色のバランスが気持ちよくて、でも何処か不安定で、カッコヨカッタ。ベースでひっぱっていく曲、良かったなあ。更にトンデモナイのは最後の1曲で、反復反復を延々と繰り返して淡々と低い平熱で昂揚して、spacemen3みたいなスリリングさがあって・・・凄かったなあ!好きだー。


仙石さんのTIME PAINTING、OHPにホルベインのカラーインクや液体類などが並ぶ卓にドキドキした。オンタイムで音に合わせて作り出す作業は何より音への理解が必要で、主観と客観のスイッチングが絶妙だった。dipには最近微睡み覚醒するサイケデリックな色彩は薄かったので新鮮だったし、extrudersとの双生児な明度は見事だった。

この3者でまたやって欲しい!

*1:http://d.hatena.ne.jp/mikk/20131231/p1

*2:ヤマジさんがナガタさんとこに近寄って、ギターのネックをベースのネックにクロスさせたの、この曲だったっけ? ああゆう遊びが出る状態って嬉しいな