ミツメ/A Long Day

A Long Day

A Long Day

これまでの作品はピンと来なくて、むしろベースのナカヤーンさんのソロがめちゃくちゃ好きなんだけど、今作はなんだかすうっと心に入ってきたのです。ワクワクしたり耳にハッとしつつも馴染むバランスの良さ。どれかが立つのではないけど、それぞれにココ!ってのがあって、でもひとつになってく。聴いていてじわじわと楽しい。こういう音の作り方は、今の時代の中で生きる彼らの姿勢なのだと思えるのです。

「聴いて良いなと思った音楽が、そのままサンプリングのように自分たちの音楽に反映されていくのは、今やりたいことじゃないんだと思います。たとえその音楽を聴いてきたから出てきたフレーズであっても、僕らも意図していない形だったり、無意識で出てきているからこそ、自分たちの表現になるというか。だから、何かをモチーフにするために音楽を聴くことは少ないんです。それよりも、気心の知れた仲間とワイワイやりながら作っていく中で自然にその影響が出ているような音楽が出来ることの方が、僕らにとっては理想的なことなんですよ。」
http://www.qetic.jp/interview/mitsume-pickup/193904/3/

こういう話をオウガの人たちもしてたけれど、「サンプリングのように反映させない」ってところが重要で、「コレはアレだ」とわかるのはカッコ悪いというのは、見える人たちの間で無邪気に楽しむ「リスペクト在りき」ではなく、見えない誰かから「パクった」と糾弾されてしまう、目利き不在の時代の背景もあるのではないだろうか。

このインタビュー読むとメンバー各人いろいろな方向で聴いているし、音づくりに無意識に反映されているのがわかる。こういう聴き方はイマドキだなあって思う。 → 「メンバーが選ぶ〈長い一日〉のサウンドトラックたち」| http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/11165?page=3


それと、バンドの運営方法についてもナルホドなあ。昨今よく目にする「働くことに対する意識変化」ともリンクする。 → 「ミツメの秘密基地に初潜入。組織から離れ、遊ぶように働く生き方」| http://www.cinra.net/interview/201606-mitsume

バンドってのも時代の表れそのものであって、でも音楽業界なんて相変わらず古臭い体質のままだから「もっとこうすればいいじゃん」って思うよねえ。フリッパーズ出た頃「ああっ!これまでにないこの空気!」と思ってたけど、ミツメのひとたちは1987〜89年生まれの人たちですからね・・・