cornelius / Mellow Waves Release Party

チケ先行発売で取れたのに、1週間以内にコンビニ支払い限定だったのを失念し、一気に奈落のヘッドマスター&自己嫌悪。一般発売で震えながらなんとかゲット。完売直前の整理番号……執念である。以下感想が大長編なこともお察しください・・・


会場のリキッドルーム内のギャラリーでジャケットに起用された銅版画家・中林忠良氏の展覧会が開催されていたので、まずはこちらを拝見。銅版画のモノクロトーンの繊細な美しさ・・・。深い宇宙がそこにあった。ベラスケスや自身の作品を引用してるのも興味深かった。版画の技法として用いられたとはいえ、小山田くんの作風とリンクするのが面白い(なんてこじつけ)。ともあれ、血縁にこのような作家がいたことへの再発見と感銘は、タイミング的にもかなり大きな影響をもたらしたことは明白で、アートワークでまず伝える小山田くんの手法として実に見事。「あなたがいるなら」のジャケ原画が掌サイズでとても小さくびっくりした。でも7インチサイズにトリミングしてもきれいだったし、今回のアートワークやidea本など、量販としての印刷表現がとても困難なことにチャレンジしてるのも、グラフィックチームはスゴイ。紙選びや版大変だっただろうなあ……。まあ小山田くんの無茶振りに応えるというか、ある意味「アルバム録音→ライブ演奏」と等しくて。

辻川さんの映像チーム然り、今回改めて痛感したのは、小山田圭吾という奇才の発想に対して、まわりの仲間たちがそれぞれの得意分野で応えて作り上げるチーム力が素晴らしいということ。小山田くんの、プロフェッショナルな人々を唸らせる知識とセンス*1は勿論、ディレクション*2や人としての魅力があってこそだろう。辻川さんや北川さんとオモシロイことを喋りながら固めていく感じとか(おざーくんともそうだったんだろうなあ)。そして大事なのは小山田くんは人に任せることも出来る人で、そういう存在を見つけ出すことが出来るということ。天才と称せられるミュージシャンは多々あれど、こういうバランスが取れる人はなかなかいない。


フロアでは瀧見憲司さんによるDJが*3。漸く中に入ったあたりでは、セイント・エティエンヌが掛かっていてウワーーーーという気分に。そしてプリファブ・スプラウト!イントロから胸が高鳴る「If you don't love me」のB面、ストリングスに胸を締め付けられてたら4つ打ちが重なってウワーッと震えた・・・。そういえば90年当時、小山田くんによる今年ベストアルバムで「”Jordan The Comeback”がすごくよかった」ってコメントしてた記事を読んで、コクコクコクと頷いたことを思い出した。こういうちいさななんでもない記憶のかけらがぶわっと浮かんでくるの面白いな。


さてここから本編のお話。
とにかく新譜のあのサウンドを生でどうやるんだ?!な興味が相当だったわけですが、実質的に「mellow waves」が深まるのは全国ツアーの10月からかなという選曲。「sensuousツアーか!」という流れに傾き過ぎてて中盤ちょっとムウウ……なのは正直なところだけど、この短期間で納得の行く演奏と映像を仕上げるのはそりゃあ無理ね・・・。でも過去曲はすっごく盛り上がってて、みなさんこんなにテンション高く反応するんだ?!とちょっと意外なほどだった。
とはいえ、各人の演奏姿を見るだけで心踊る。

小山田くんのギターの音色はとても不思議。とにかくクリアで、へんなエゴや感情に依らなくて、純粋な「音」として場に存在している。チューニング無しのムスタング1本で(アルバムの世界観に合わせて「白い」ギターにしてるとのこと、さすが)爪弾いたり掻き鳴らしたり決めポーズしたり、カッコヨカッタ。
堀江さんはキーボードにギターにホーンにコーラスと大活躍で、大変そうだけどとても楽しそうだったなあ。そんな姿と音を見てたらやっぱり、達也さんとヤマジさんとのバンドを本格的に始動して欲しくなった。(ああこんなところですみませんすみません)
あらきさんのドラムの凄まじさはなんと表現したらいいんだろな。オープニングのドラミングと映像がピタッと同期してライブが始まった瞬間から「あなたがいるなら」まで、まさに無双。それでいてご本人自身はガッツリしていないのが素敵で。
大野さんも同じくサラッとしてて、ムーグやベースがカッコよくって。そしてコーラスがキュートで素敵。今回が初参加なのにさすが馴染んでる。
照明や映像も重要な存在なのは勿論のこと。

全体の構成がほんとに見事で、クールなのにアツくて、最後は夢のようなほわっとした後味にじーん。。。
瀧見さんのDJからはじまる、みんなでつくりあげた素晴らしいショーでした。カジくんがツイートした勢揃い写真、泣けたなあ……*4
10月にもう一度行くので、どのように完成しているか楽しみにしています。

*1:今回のアルバムにはoliveの「ストリートスナップ」に載ったときの「小山田圭吾」を感じたのだけど、それは「まだ何者でも無かった」小山田圭吾を回り回って感じ取ったということで、血縁が裏テーマだからかもしれない。今、はこれまでの自分がつくりあげたものだということ。

*2:自分の中に確固たるイメージがあって、それを具現化することがゴールだからジャッジが的確なのだろう。

*3:ああ、瀧見さんのDJなんて下北ZOOのLOVE PARADE以来ですよ……。クラブカルチャーなんつうトコに背伸びして飛び込んだ若きワス

*4:カヒミさんは「NUNKI」で小山田くん参加してるし当時雑誌のインタビューも一緒に応えてることは、念のため書いておこう・・・