オルタナから抜けられない私とあなたへ。「15年後のラブソング ~ juliet,naked」

邦題「15年後のラブソング」なんてやっすいタイトル、スルーするに決まってんじゃんねえ。ところが、「ハイ・フィデリティ」のニック・ホーンビィ原作でイーサン・ホーク出てるって知ってググったら、イーサン・ホークは「90年代初頭に姿を消したミュージシャン役」なんつうツカミでこれは。。。!と見たところ、やっぱり「ですよね〜〜」な殺傷箇所テンコ盛りの映画だった。
んが、私が目にする限り、全く話題になってない!!!


主人公の夫が「90年代初頭に姿を消したロックミュージシャンのファンサイトを運営し、コアな情報とアツイ考察を網羅、夜な夜なファン同士でZOOMで語り合ってる」って設定に、グサッ!グサグサッ!!と胸を刺される。出たよ「これは私か……」案件ですよ。。。そんで当の本人はウンザリしてるっていう……(ああっ!号泣)90年代終わりくらいのdipの活動が止まってた頃のネット上を思い出すよね……(あ!) そんでもって、ものすっごくイタい言葉を妻に投げかけるんですよ。ああオソロシイ。>気をつけような、ワス。


イーサン・ホーク演じるタッカー・クロウは人気モデルとの恋の破局から生まれたアルバムで注目を集めるものの、93年のライブ中に突如姿を消して、以降行方知れずという設定が、我々世代にジャストフィット。93年てまさにオルタナ絶頂期で、チェックのシャツ着て自堕落な感じで、モデルだ破局だなんだかんだの設定が実に絶妙で、ああーそういう人いたよねーと思わず言ってしまいそうになる。当時のライブ告知チラシとかもああーそうそう部屋に貼ってた!と思っちゃうつくりでねえ。んでもって、作中流れる楽曲(勿論イーサンが唄ってる)も、レコファンやユニオンのレジ前ダンボールの中に埃まみれでアルバムドッカリありそうな、絶妙に安い楽曲センスでねえ。。。


そしたらデスよ、監督のジェシー・ペレスはレモンヘッズの初代ベーシストだったの!!えーーー。そりゃーリアルに体感してるんだから、その空気が反映されるよねえ。
んで、作中の楽曲を手掛けたのは、コナー・オバーストにロビン・ヒッチコックだった!ええー。絶妙に安い楽曲センスなんて言っちゃってスミマセン。。。他にはウイルコやレッドハウスペインターズの曲が流れたり、キンクスをイーサンが唄ったりしているのである。


映画そのものとしては軽い仕上がりで純粋な映画ファンには評価低そうだけど、オルタナなあの渦に当時嵌まり込んでいた人たちにはわかります……!な映画になっておりますし、90分ほどでさくっと見れるのでぜひに。


youtu.be
レモンヘッズといえばのあのアルバムリリース時には既に脱退していたものの、PVを監督。いい話ねえ。しかもブレイク前のジョニー・デップが出てるのだ。「ギルバートグレイプ」「アリゾナドリーム」「妹の恋人」という、あの頃のオレたちの象徴3部作(?)は翌年93年である。
あ、ジュリアナ・ハットフィールドこのあと聴こう。。。


こんな映画公開されるのなら、サントラ売り場とロック売り場で平積み展開して関連CDガンガン置いてPOP書きたいものですが、こんな感覚も今やもう、古いんだよねえ、トホホ。