宮本三郎記念美術館を出て、テクテク歩きトコトコ歩いた先で扉を開けたのは小さなパン屋さん。おじさんが一人でやっていていつも厨房に籠ってパンを焼いているので、「買うものバッチリ決めて声かけて注文する」タイミングを計るのが難しい。しかもちとコワいんだよな…。呼んでから迷うなんてとんでもなーいてな具合。でもそういうのを悪い点とは思えないのがこの店のいい空気なのだ。キリッとしててそこが好き。
ここのプレッチェルが大好き!なんだけどきょうは無くってがっかり…と思ったらオーブンがチリチリチーンと鳴き、中から出てきたのはプレッチェル!やったー!焼きたて!ほっかほっかのそれを外へ出てすぐ頬張った。わああんおいしい!
そんでもってまたテクテクトコトコ歩いて向かったのはゼリー屋さん。夕暮れの空のように繊細な色のレイヤーを成すゼリーを2つ。奥から出てきたこの店のおじさんは相変わらず血色がよいパワフルぶりでめっさめっさお話してくれるので楽しい。目の前の美しいゼリーを作り出したかたとは思えないんだけど(失礼)。ゼリーといえばかあいらしい「イエ」もあるけど、私はこのオッサンゼリー(不味そうな呼称でごめん!)を愛するよ!
レッチェルとゼリーは風邪っぴきのY氏へのおみやげ。これ食べたらすっかり回復したみたい。そう、からだがちゅるんとチューンナップするんだよ。
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日曜日は近くをお散歩、近くとは云っても普段通らないエリアなので新鮮なきもちでワクワク。
住宅街をゆらゆら歩くと焼き菓子屋さん。まだ新しくかわいらしい店構えのなかにはたくさんの種類のクッキーやマドレーヌにダックワーズ、奥にはガトーバスクやクラフティなどのヴィエノワズリーまでぎっっしりと並んでて、思わず声をあげてしまう。絵本を開いたみたい。見ただけでコレは美味しいと確信できる。くるくるしながら悩んで悩んで選んでレジへ。会計をしてくれた女性がこの店の職人さん、たったひとりでこれだけの種類の焼き菓子をつくっていらっしゃる!凄い!
「今度何をつくろう?って考えて作るのがほんとに好きで、楽しいんです!」と笑顔でおっしゃっていたのが印象的。素敵だなあ。。。家へ帰って珈琲とともにいただく。職人の技を感じさせるひと味違う美味しさに唸りながら、さきほどの笑顔を思い出した。最近はいろんなタイプのお菓子屋さんが増えたけど、気持ちよさが店の佇まいにもお菓子にも人にもきちんと行き届いている店はなかなかないんじゃないかしら。コンセプトが目立ってて手が通う「技」(材料の選別も含めて)すらおざなりだったりする。
職人さんの顔が見える店、コワかったり饒舌だったり笑顔が素敵だったり。私はその人に逢いに行くのだ。